てきすとぽい
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第52回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
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もしもヒトラーがラーメン屋だったら
(
浅黄幻影
)
投稿時刻 : 2019.08.18 13:05
字数 : 1000
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もしもヒトラーがラーメン屋だったら
浅黄幻影
私の名はアドルフ・ヒトラー
、かつて世界を制する直前までい
っ
た男だ。現代に蘇
っ
た今、私はラー
メン屋をしている。同盟国日本の食文化は実に興味深く、そのなかで一番気に入
っ
たものがラー
メンだ
っ
た。ラー
メンは他国の文化を日本流にアレンジして支配したというのだから、血が疼く。
そこで決めた。私はラー
メンで世界を制してやる!
一月 一日 「ヒトラー
メン」一号店 ベルリンにオー
プン
三月 十二日 オー
ストリア店オー
プン
八月 三十日 ポー
ランド店オー
プン
七月 一日 ヴ
ィ
シー
店オー
プン
四月 三十日 ヒ
ッ
トラー
のカウンセリングが始まる
「ヒトラー
さん、なぜこのような出店計画を立てたんです?」
「歴史の勉強をしているのならだいたいわかるはずだ。それ以上に何の意味がある?」
「では質問を変えてみます。どうして歴史になぞらえる必要があ
っ
たのです? 和光あたりで名を馳せてから、都内進出を狙うのが私にはいいと思いますよ。いきなり海外出店。しかも、この順番
……
」
「私はこれらの地で勝利を収めた。それを辿れば再びかつことができる。そして過去の未熟な作戦を正していけば、今度こそ我が帝国は不滅のものになる」
「ラー
メンはどうしました?」
「私には夢がある。野望だ。ラー
メン屋は今はまだ小さな規模だが、いつか世界中で一番だと知られるような店にしてみせる!」
「志が高いのはいいことだと思います」
「そのために私は労力を惜しまない! 小さな店の厨房に立ち、自ら世界征服のラー
メンを追求する! そうするうちにき
っ
と店は繁盛するだろう。テレビに取材され、いつでもどこでも娘たちはラー
メンの話題ばかりになる! 黄色い声援が私を迎える!」
「エヴ
ァ
・ブラウンさんも泣きますね」
「いや、ここからが肝心なところ。持ち前のカリスマを発揮したらもう私の勝ちだ。世界中が私に熱い視線を送るようになるのだ」
「それでは今までのは
……
!」
「そうだ! 我がカリスマを以てすれば、私の人気はうなぎ登り、すぐにも著名人の仲間入りだ! コメンテー
ター
に司会者に、テレビ番組に引
っ
張りだこ! みるみるうちに大金持ち! そうすれば、ラー
メンなんて作らなくていい。私はしあわせになるのだ」
「
……
ラー
メン作らないんですか?」
「ラー
メン? 誰が作る
っ
て?」
「ああ、この患者は手に負えない」
そういうわけで、私は自分をヒトラー
だと思い込む病人だとされてしま
っ
た。失礼な話である。しかし、やはり画家のラインで攻めるべきだ
っ
たのかもしれない。
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