てきすとぽい
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第10回 文藝マガジン文戯杯「気づいて、先輩!」
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先輩・過去・未来
(
ミラ
)
投稿時刻 : 2020.02.09 13:42
最終更新 : 2020.02.16 03:44
字数 : 906
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2020/02/09 16:33:31
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2020/02/09 16:24:03
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2020/02/09 16:13:33
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2020/02/09 13:42:12
先輩・過去・未来
ミラ
ある日、俺と同じクラスに転入生がや
っ
てきた。
そいつはクロマニヨン人だ
っ
た。
異説もあるが、定説ではホモ・サピエンスの直系の祖先である。
人類の先輩というわけで、彼のあだ名は先輩に決ま
っ
た。
先輩は言動が原始的というか、まあ、は
っ
きり言
っ
て馬鹿
っ
ぽいので、みんな彼のことを自分たちより一段低い存在と見くび
っ
ていた。
先輩自身も自分に自信が持てないようだ
っ
た。
からかわれたり、いじめられたりしても卑屈に笑
っ
ていた。
俺はと言えば、遠くからそれをただ眺めているだけだ
っ
た。
しばらくして、また転入生がや
っ
てきた。
今度の転入生はネアンデルター
ル人だ
っ
た。
ネアンデルター
ル人についても様々な説があるが、クロマニヨン人より古い時代に属する類人猿であることは確かのようである。
したが
っ
て、あだ名はもちろん、大先輩である。
先輩と大先輩の関係は微妙だ
っ
た。
このクラスでは先輩のほうが大先輩より先輩なのである。
そのせいか、先輩は大先輩に対してだけは威張
っ
ていた。
なんというか、器の小さい先輩に、俺は少々失望した。
い
っ
ぽう大先輩の方は、先輩から先輩風を吹かされても、嫌な顔をすることもなく、いつもニコニコと穏やかに笑
っ
ていた。
さすがだ、と俺は思
っ
た。
その日、大先輩が珍しく俺に話し掛けてきた。
「君は他のみんなとは違
っ
て、いつも大人しいね」
「俺は一番後輩ですから」
大先輩の貫禄に俺は自然とかしこま
っ
て答えた。
「そうなんだ。でも、これからは君の時代だろ」
そこへ先輩が割り込んできた。
「おまえ、誰と話してんだよ。あ、こいつは」
どうやら、こいつとは俺のことのようだ。やれやれ。
「前から気にな
っ
ていたんだが、こいつはい
っ
たい、何なんだ」
「なんだ、知らなか
っ
たのかい」
大先輩が意外そうにい
っ
た。
「彼は、」
そのとき、第三の転入生がや
っ
てきた。
今度の転入生はテ
ィ
ラノサウルスだ
っ
た。
これはやばい、と俺は思
っ
たが、他の誰も危険に気づいていなか
っ
た。
結局、先輩も大先輩も、他のみんなも食い殺されてしま
っ
た。
助か
っ
たのは、食い物に見えなか
っ
た俺だけである。
やがてテ
ィ
ラノサウルスも飢えて死に、俺だけが取り残された。
次の転入生がいつ来るのか、俺にはわからない。
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