第64回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
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夢で会いましょう
投稿時刻 : 2021.08.22 10:57 最終更新 : 2021.08.22 12:32
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- 2021/08/22 12:32:46
- 2021/08/22 10:57:19
夢で会いましょう
押利鰤鰤@二回目


 「あなたとこうして会えるのは、これで何度目だたでしうか」

 満点の星空の下、高層ビルの屋上に置かれたベンチに座ていた若い女性はそう言いました。
 私は彼女の隣に座り、夜の闇に沈んだ遠くの街並みを見つめているその横顔を見つめます。
 歳の頃はまだ十代前半に見えます。
 目鼻立ちははきりしていますが、掴みどころはありません。
 はきりしていても、ぼんやりとしているのです。
 私は彼女に以前会た事はあるような気がしますが、それがいつの事だたかは思い出せませんし、もしかしたら気のせいで初めて会うのかもしれません。
 だけども、彼女がそう言うのなら私は彼女と何度も会た事があるような気がします。
 いいえ、きとあるのでしう。

 「ごめんなさい。何か記憶がぼんやりしていて、君と前に会たことはあると思うのだけど、それがいつの事だたのか、何回目なのか思い出せないのです。そもそも私は何故ここにいて、何をしているのかも思い出せません。そして私は何者なのでしうか」
  
 「だてこれは夢ですもの」

 彼女はそう言て笑いました。
 私も夢だと言われて素直に納得するのです。

 「私もあなたも世界のどこかの片隅で、眠ているときに夢を見ているのです。この夢が幸せな夢なのか、悲しい悪夢なのかはわからないけれども、きと今までに何度もあなたと夢の中で会ていると思います。夢の中だから理由なんか無いのだけれど、そう思うのならばそれでいいと思うのです」

 彼女はそう言て私の手を取り立ち上がります。
 その瞬間世界を覆ていた夜は終わり、七色に光る虹色の朝がやてきました。
 
 「行きましう」

 彼女がそう言うと僕らの体は浮き上がり、光の速さで空を飛び始めたのです。
 
 「行くて、どこに行くのですか」

 「それは私も分からない。でも分からない方がきと楽しいわ。楽しいことも苦しいこと、酷い事がいくらでもきとあるだろうけれど、そんな夢の世界を楽しみましう」

 私は彼女に手を引かれ、夢の世界を巡り巡る。
 彼女の言うように楽しい事も、酷いこともあた。
 私が彼女を貪り喰らい、彼女は私を犯した上で殺されることもあた。
 だけども結局は夢の中の話なので、私たちは蘇る事ができるので、新たな夢を目指すのでした。
 どれだけの時間を夢の中で過ごしたのかわかりませんが、彼女がそろそろ目が覚める時間ねと言いまいた。

 「残念だけど、今日は楽しかたわ」

 骨と皮だけの老婆になている彼女が言いました。
 
 「また君と夢の中を巡れるかな」

 彼女は前歯も抜け落ちて皺くちになてしまて口をクチクチと動かしながら言いました。

 「また夢で会いましう」
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