てきすとぽい
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第68回 てきすとぽい杯
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紙吹雪はらはら
(
住谷 ねこ
)
投稿時刻 : 2022.04.16 23:44
字数 : 580
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紙吹雪はらはら
住谷 ねこ
小さな小さな劇団のアルバイトを見つけた。
アパー
トの近くに神社があ
っ
てその奥にぼろいプレハブが建
っ
ていて
そこは時々、ぽつぽつと灯がつく。
どうやらお芝居を定期的に発表しているらしか
っ
た。
一度覗いてみようと思
っ
ていたら「紙吹雪係募集」と言う貼り紙が出ていたのだ。
アルバイト代は若干。としか書いてなか
っ
た。
そして私は「紙吹雪係」にな
っ
たのだ
っ
た。
劇団の団長だというその人は「アルバイトの募集を見た」というと
「はい、採用」ということにな
っ
た。
大きなざるにピンク色の紙吹雪がたくさん入
っ
ていてそれを決ま
っ
たシー
ンで
はらはらと散らすのだ。
散らす場面はいくつかあ
っ
て、そのシー
ンが盛り上がるように調節して紙吹雪を降らせる。
私は初めてにしては上手らしい。
明日にはくるから 明日にはくるから と言われながら
まだ主役やほかの出演者の人がこないので
私はいつも一人で団長の本読みに合わせてはらはらと桜もどきに紙吹雪を散らした。
一週間もや
っ
ていたけどい
っ
こうに誰も来なか
っ
た。
少し心配にな
っ
て「バイト代はいつ、いくらくらいもらえますか?」と聞いてみたが
なんとなくごまかされた。
そのうち飽きたので行くのを辞めた。
バイト代はもちろんもらえなか
っ
た。
行かなくな
っ
て少ししたらまた「紙吹雪係募集」という貼り紙がされていた。
それをじろじろみている大学生らしい男の子がいたが私は知らんふりで通り過ぎた。
了
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