てきすとぽい
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推敲バトル The First <後編>
〔 作品1 〕
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〔
2
〕
〔
3
〕
…
〔
6
〕
アイス・ボックス
(
゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.
)
投稿時刻 : 2013.06.22 17:27
最終更新 : 2013.07.29 21:45
字数 : 3951
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2013/07/29 21:45:53
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2013/07/21 01:38:04
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2013/07/16 21:16:36
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2013/07/14 21:27:12
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2013/07/14 16:51:50
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2013/07/12 09:25:11
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2013/07/05 22:29:45
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2013/07/05 22:28:46
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2013/07/05 22:25:31
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2013/07/05 22:22:33
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2013/06/22 17:27:47
アイス・ボックス
゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.
夏休みのある日、お兄ち
ゃ
んが近所の駄菓子屋でホー
ムランバー
の当たりを引いた。私がまだ3歳か4歳ぐらいの頃だ。ホー
ムランバー
の当たりを見るのは初めてだ
っ
た。その時、私はお兄ち
ゃ
んがヒー
ロー
に見えて、ばかみたいにはし
ゃ
いだ。でもお兄ち
ゃ
んは至
っ
てクー
ルだ
っ
た。
「これ、俺のだかんな」
怖い顔をしたお兄ち
ゃ
んは、私を睨みながらそう言
っ
た。
「手
ぇ
出すんじ
ゃ
ねえぞ」
お兄ち
ゃ
んは背伸びして、冷凍庫に手を伸ばした。その頃の我が家の冷蔵庫は古か
っ
た。冷凍庫は冷蔵庫の上に乗
っ
てた。
当時の私はお兄ち
ゃ
んのことを自分よりず
っ
と大きい大人なんだと思
っ
てたけど、お兄ち
ゃ
んは私より2つ年上だから、まだた
っ
たの5歳か6歳だ
っ
たはず。何度かつま先立ちにな
っ
たり、ジ
ャ
ンプしたりして、冷凍庫を開けようとした。でもどうしても手が届かなくて、そのうち諦めて、冷蔵庫の一番上の棚に当たりによ
っ
て手に入れた二本目のホー
ムランバー
を隠した。私はそのとき、お兄ち
ゃ
んの背中を見ながらぼんやりと、ああ、お兄ち
ゃ
んは、大切なものは冷蔵庫に仕舞うんだなあと思
っ
ていた。
当たり前だけどホー
ムランバー
は溶けてしま
っ
て、冷蔵庫の中がべち
ゃ
べち
ゃ
にな
っ
た。買い物から帰
っ
てきたママはかんかんにな
っ
てお兄ち
ゃ
んを叱
っ
た。その時、私はなんだか無性に悲しくな
っ
てしま
っ
た。大切なホー
ムランバー
を失
っ
た上にママに叱られているお兄ち
ゃ
んがかわいそうで。それで当時3、4歳だ
っ
た私は悲しみのままに泣き出した。私が泣き出したものだから、ママはも
っ
と腹を立てた。私がなんで泣いてるのか言わないから、ママは、お兄ち
ゃ
んが私のホー
ムランバー
をいじわるで台無しにしたと思いこんだんだ。お兄ち
ゃ
んは誤解されてきつく怒られたのに、泣かなか
っ
た。
「ねえ、お兄ち
ゃ
んて友達いないの?」
午後6時、夕飯時にな
っ
てようやく目覚めたお兄ち
ゃ
んに、私は言
っ
た。眠そうに目をこす
っ
た後、お兄ち
ゃ
んは何も言わずに体を起こす。ち
ぇ
っ
、無視かよ。こ
っ
ちはお兄ち
ゃ
んが寝てるからずー
っ
と暇だ
っ
たのにさ。
「お兄ち
ゃ
ん、入院してから全然学校の人お見舞いに来ないじ
ゃ
ん」
もうすぐ夕食が配られるからかな。廊下の方は少し騒がしくな
っ
てきた。カー
テンで仕切られた隣のベ
ッ
ドの方からは、夫婦と思われる中年の男女の他愛もない会話が聞こえる。お兄ち
ゃ
んは怪我で入院してるんだけど、お隣さんは何かの病気の手術で入院しているらしい。お兄ち
ゃ
んは同じ部屋の他の人と全然話さないから、私も詳しい事情はわからない。
お兄ち
ゃ
んは誰とも話さない。看護婦さんとも会話しようとしないし。お見舞いにもほとんどだれも来ないから、私ぐらいしか話し相手なんかいないはずなのに、入院してから私とも話そうとしてくれない。
テレビをつけた。夕方のバラエテ
ィ
番組をや
っ
てた。
「あの子、また来てたよ」
あんまりにも暇すぎて、私は、言いたくなか
っ
たのに、言
っ
てしま
っ
た。お兄ち
ゃ
んの目がちらりと一瞬だけこ
っ
ちを見た気がしたけど、気のせいかもしれない。
「お兄ち
ゃ
ん全然起きないのに、ずー
っ
とここに座
っ
てたよ」
そう言
っ
て、私は自分が座
っ
てる丸椅子を指さした。お兄ち
ゃ
んはもうこ
っ
ちを見ない。まあ、お見舞いに来た高校の同級生が、この丸椅子以外のどこに座るのか
っ
て話だから、これはどうでもいい情報だ
っ
たかも。
それ
っ
きり、またお兄ち
ゃ
んはむ
っ
つり黙り込んだ。テレビの中で若手のお笑い芸人たちがくだらないこと言
っ
てじ
ゃ
れあ
っ
てる。スタジオの笑い声が聞こえてきた。たぶん面白いことをしているはずなのに、お兄ち
ゃ
んは画面を見つめたままち
っ
とも笑わない。つまんない。今日はもう帰ろうかな。そう思
っ
たとき、お兄ち
ゃ
んはサイドテー
ブルにあ
っ
たペ
ッ
トボトルに気付いたようだ
っ
た。
あの子が持
っ
てきたんだよ、と言おうとして、やめた。今日はお見舞いに来たのあの子だけだ
っ
たし、あの子はい
っ
つもレモンウ
ォ
ー
ター
買
っ
てくるから、言わなくた
っ
てお兄ち
ゃ
んはわか
っ
てる。
「私、あの子、嫌い」
お兄ち
ゃ
んは何の反応もしない。
「なんかさ、ぶり
っ
こ
っ
て感じ。お兄ち
ゃ
んの前では大人しくしてるけどさあ、絶対腹黒いよ」
廊下からキ
ャ
スター
の音がして、看護婦さんが夕飯を運んできた。お兄ち
ゃ
んが何故かち
ょ
っ
と慌てたように、レモンウ
ォ
ー
ター
を備え付けの冷蔵庫の中に入れた。ち
っ
ち
ゃ
い冷蔵庫だ。冷凍庫はついていない。その冷蔵庫の右上の小部屋に、素早くペ
ッ
トボトルが放り込まれた。冷蔵庫の中で、何か固いものとぶつかる音がかすかにした。
味気ない感じの料理ば
っ
かり並んだトレイがお兄ち
ゃ
んのテー
ブルに運ばれる。お兄ち
ゃ
んは怪我で入院してるだけだから何でも食べられるはずなのに、こんなのしか食べられなくてかわいそう。ママもお父さんも、お見舞いに全然こないし、お小遣いもくれないから、お兄ち
ゃ
んは売店で好きな食べ物買うこともできないんだ。あの子も、レモンウ
ォ