第8回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
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空の金魚鉢にシラハを
投稿時刻 : 2013.08.18 05:07
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空の金魚鉢にシラハを
犬子蓮木


「すくて来たのどうする?」
「ガーデンで飼おう」
 雲の上、高いところ、空中庭園。僕ら天使は、下界よりも高く神様のいる上界より低い、ここ天界に住んでいる。
 さきまで下界のお祭りに行て遊んでいた。そこですくたから、ちんと育てないとねて話。
「空気が綺麗すぎると死んじうんだて」
「めんどうだなー
 透明な球体をつくり三匹放した。ガラスとかビイドロとかそんな物質ではない透明な壁。中で自由にしている彼らは何を考えているのかわからないけど綺麗だた。
「空気は下界から持てきて定期的に変えないとダメだね」
「ああ、餌も下界か。とてこないと」
 僕らは神様の知識をダウンロードしながら相談する。
「翼がないんだ」
「あるのは天使だけだよ。そちのがめずらしい」
「鳥はあるじん」
「そういうところ細かいよね」
 下界に降りて餌をとてきた。恐る恐る食べてみるとなんだかしぱい。こんなのがいいんだろか。僕らは首をひねて、笑てから飛び上がて、上から餌をあげてみる。
「おいしそうに食べてる」
「こういうのをがついてるて言うんだ」
「これだけじ、さみしいんじないかな」
「餌のあげすぎはダメだよ」
「そうじなくて、家とか寝るとことか」
 そうだそうだ、と僕らは家を考える。どんなのがいい? すぐ作れるけど、ころころ変わたらイヤだよね。なんだかストレスに弱いらしいし。
 相談して僕らのうちと同じようにしてみた。白くて丸こいドーム。
「あ、入た」
「気に入てくれたみたい」
「どのぐらい生きるんだろう」
「油断してるとすぐ死んじうけど、ちんと長生きさせれば転生するかもて」
「ほんとに? すごいなあ」

 僕らは神様に呼び出される。
 お仕事だて。
 餌を置いていこう。
 ほんの二週間ぐらい。
 帰てきたら一匹死んでいた。
 どうして?
 なぜ?
 なんでもとちんと見てあげなかたんだろう。
 誰かに頼んでいけばよかた。
 元気だたら、
 子供だて産んで、
 もと増えたかもしれないのに。
 動かなくて、
 寝ていて、
 腐て、
 黒く、
 死。
「仲間が死んで悲しいかな?」
「わかてないよ、きと」
「そんな」
「だてこいつら、仲間同士で争うんだ。争て死んだんだ」
「餌がたくさんあれば、よかたんだよ」
「わけあえばいい。それをしなかた」
 あんなに綺麗だたのに、もうそんな面影はどこにもない。
 死んだ魚のような目をしている。
 生きているのに。
 生きていたのに。
 救えなかた。
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