第8回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
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今日も食らう
投稿時刻 : 2013.08.17 17:44
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今日も食らう
コユキ キミ


 にんにくをみじん切りにして、鍋にほおりこんだ。たらたらと油をたらす。いい匂いがしてきた。
 さてどうやて食すか。もともと食用ではないので、骨が多いし、うまいものではない。処理は考えずに、包丁をふるい頭をおとして、ぶつ切りにする。
 スープかな。スープにしておけばとりあえず大丈夫だろう。
 さらに青ネギとシウガをみじん切りにして鍋にほおりこんだ。木じくしで炒める。そこにぶつ切りにしたソレをほおりこんだ。最近よく出回ているのだが、彼はあまり好きではない。骨が多い。肉がくさい。食べづらい。内臓を食べるのが好きだと、彼女は言ていたけ。彼は身震いする。
 内臓は苦くて嫌いだ。気持ち悪い。
「それより美味しいのは頭部のみそよ」
 彼女はそう言ていたけ。そんなものをたべるなんてとありえない思う。味覚だけは彼女とあわない。
 スープが煮立てきた。すこし辛くしよう。
 豆板醤とごま油と中華スープのもとをスープに混ぜ合わせる。
 味付けをする。辛くしておけば彼女は「美味しい」というだろう。
 さて、あともう一品。食材のなかから、味付けの濃い大きなソーセージをとりだした。香辛料やら保存料やら着色料やらで、どんな肉が加工されているかわかたもんじない。それを裂いて、野菜を添える。
 さきのスープとあわせてテーブルにいそいそとセング。いいじん。
 ぴちんという音がして、彼女がやてきた。彼女は頭のうえのコブが魅力的だ。鱗がぬめぬめと真黒なところも大好きだ。
 彼は自身の体色をみる。ありふれた白と朱色の鱗。うんざりする。
「いやーん。また『ほもさぴ』?」
「好きだていてたじないか。そういう事を言うなら食べなくていいよ」
「だて、最近『ほもさぴ』ばかりだし」
 彼の不機嫌を見て、あわてたように彼女は魅力的に胸びれを震わせる。ちろりとコブの下のつぶれかかた目をこちらに這わせてくる。
「でも、あなたが作てくれるなら、なんでも好きよ」
 黒いコブも震えている。
 まあ、いいか。彼は彼女のみえみえのお愛想にのることにする。
 はらも減たし食事にしよう。彼は進化した胸びれをのばすとスプーン状のものをとた。尻尾は水につけたまま、テーブルについた。食材のことは反省する。
 しかし、どうして頭のいい人は『ほもさぴ』を矮小化して、家畜にしようだなんて思たのかな? 鱗がない家畜なんて気持ち悪いじないか。
 彼女とテーブルにつく。
 今日も食らう。
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