突撃! 隣のプロットコンテスト
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夢のなかのきみ(仮)
投稿時刻 : 2013.11.28 23:00
字数 : 2354
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夢のなかのきみ(仮)
小伏史央


■使用キーワード:「サーカス」「大叔父」


■あらすじ
 男は女に飼われている、という演技をしていた。男は周囲の圧力を操る異能を有している。その力を利用して、盗みや殺しを働いていたのだが、ある暴漢を殺しそこね顔を見られる失態を犯してしまい、女を利用して隠れているのだ。いつからこの家に匿てもらているのか、どのように女に付け入たのかは、覚えていない。男にとてそれは些細な問題だた。ただ財力のないひもじい男を演じ、女のくれる食べ物を口に運ぶだけだ。
 女のほうはというと、男が演技をして女に擦り寄ていることには、気づいていた。女の大叔父が、サーカス兼演劇団のオーナーをしており、小さいころからサーカス場やその練習場にばかり通ていた女にとて、人間が演技しているのか、いないのかは、手に取るようにわかた。そのうえで男を家に泊めたのは、彼の演技の奥から、人間としてのこころの弱さが、透けて見えたからだ。女にとてこの男は、悲痛に見えて仕方がなかた。
 男は、あの暴漢や警察機関に追い詰められたときはこの女を人質にして、どこか遠くへ逃げればいいと考えていた。逃げきれたあとは、殺してしまてもいい。それまでは、演技をして安住していよう。女は男の予想以上に献身的な女だた。無償で食べ物を恵んでくれる姿は、こころから男に同情しているように見える。それから季節がひとつ移り変わるほどの時間、そのような二人の生活は続いた。女の右手薬指には、質素な指輪がはめられていたが、男はそのことについて言及はしなかた。家のそとの彼女を、男は知らないし、知る必要もない。会話もさほどなく、あるとしても女のほうから一方的にするばかりで、ただ、男は女に飼われている演技をし、女はその演技に気づいていない演技をしつづけた。
 ある日、女が珍しく不機嫌な態度をとていた。男は、ふと、どうしたのかと女に訊く。久しく会話を交わすためか、こころがいくばくか動揺し、室内の気圧が微弱に高くなたような心持ちがした。女は、愚痴を吐こうとしたが、思いとどまる。代わりに、一緒にサーカス見に行かない? と言た。男は露骨に嫌な顔をした。
 久々に浴びる陽光は、男には眩しかた。サーカス場で、女と席に座る。嫌なことがあたときには、決まてサーカスを観に行くのだと、女は言た。男は、気乗りせず、ただ自分の素性を知ている者がいやしないかばかり気にしていたのだが、サーカスが始まてみると、舞台にくぎ付けになた。舞台上で観客を楽しませているサーカス団員は、体から火炎を吹きだしたり、道具を使わずに物体を動かしたり、自身が浮遊したり……彼らはまるで、男と同じ、異能を持つ者たちのようだた。彼らは忌み嫌われ排他されるべき異能を、サーカスや演劇に昇華していたのだと、男は感銘を受けた。異能を持つ者でも、健常の者たちと共同の世界を生きることができるのか。男はその感想を、女に語りかけた。女は男のその様子に、腹を立てたようだたが、控室に行てサーカス団員たちと話をしてみるかと誘う。男は力強く頷いた。
 団員たちは、みな仲が良さそうだた。サーカスが終わた後、二人が舞台裏に行くと、団員たちはオーナーの大姪とその連れを大いに歓迎した。男は、こころから彼らの舞台に感動したことを述べた。異能を持つあなたたちが、どうしてこうやて普通の人間の世界で、能力を活かして暮らしていけるのか、詳しく知りたいと男は請う。しかし彼らは、そんな安ぽいやつらと一緒にするな、我々にそのような設定付けはない、という旨のことを悪気なく話す。彼らは、自身が異能の者でありながら、健常の世界に身を置いているというだけで、自身を持ち上げ、他の異能の者を蔑んでいるのだ。男は失望する。
 しかし、この女だけは差別感情をいだいていないように見えた。すくなくとも男の目からはそう見えた。男は、次第にこの女に惹かれている自分を感じる。女は男のその態度が手に取るようにわかた。出会い始めのときの彼と、またく同じ態度をしているのだ。暴漢に襲われたときのシクから、彼はまだ回復できないでいる。サーカス団員のパフマンスにはきちんとしたタネがあり、異能も、彼が犯したという犯罪も、すべて彼の想像だ。ということに、彼はまだ、気づいていない。
 男と家に帰る。すかり暗くなていた。男は久々の外出に疲れて、帰た途端に眠てしまうが、女はシワーを浴びることにした。シワールームに入ると、その排水溝に指輪がひかかているのを見つけた。かつて男がくれた指輪を、電灯にかざし、右手の薬指にはめなおす。今日の不機嫌の原因はこれで解決した。けれどここしばらく続いている不機嫌は、いつ回復するだろう。女は考える。いつになたら、右手から左手に付け替えることができるのだろう。不機嫌の原因は、布団も被らずに、無邪気に自分の夢に逃げ込んでいた。


■簡単なあらすじ
1.男(異能を持つ)と女(一般人)の共同生活が始まる。
2.女の献身的な態度を嫌味に見つつも、男は安定した日々をすごす。
3.二人でサーカスを観に行く。サーカス団員たちは、男の目では男と同じように異能の持ち主のように見えた。
4.男は、女に惹かれるようになる。自身のかかえる異能というものが、自身が作り上げた想像であることにも、女がすでに恋人であることにも、気づかずに。


■その他
・推奨:三人称多元視点
・「異能」という(偽)要素は不要かもしれません。
・個人的な印象ですが、良い作品ができるときて、たいてい最終的にはこういうプロトは無視しているものです。ですのでもしお書きになる際、プロトを無理に守ろうとはせず、むしろどんどん書き換えていただきたいな、と思います。

以上
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