第12回 てきすとぽい杯〈紅白小説合戦・紅〉
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錆びない刀の秘血
投稿時刻 : 2013.12.14 23:39
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錆びない刀の秘血
ちゃーち


伍作の刀がよく斬れる、と評判になったのと同時期に、
私の友人で刀鍛冶であるところの伍作がいやに憔悴し始めた。

「精魂込めて作りすぎじゃないか」
「いやあ、心血注がなきゃいい刀は作れんと気づいたのさ」

訪ねに行ったときにかけた言葉も聞かず目を爛々と輝かせてただ刀を鍛える伍作。
明らかにやつれており明らかにこのまま続ければ死ぬ。
私は少しおそろしく思えて休むよう彼に告げたが、
職人というのはそんなものである、刀を打ちながら死ねれば本望なのだ、
という言葉に引き下がるしかなかったのだった。
恐ろしいことに伍作の刀、どれだけ斬っても錆びぬとのこと。

「どうやって作っておるのだろう」

なにか特別な材料を使わねばこうはなるまいとは知り合いの目利きの話であった。
ともかく、伍作の刀はよく斬れる。そしてよく売れた。
彼の妻と子は安泰に暮らせることだろう。
本当に心血を注いだものには魂が宿り、力を持つのだ…伍作が妻に贈った言葉である。
そうして百本ほど鍛えたところで伍作は死んだ。
死して分かったことは彼の手首には深い傷跡が幾度も刻まれており、
さらには死体に血が一滴たりとも残っていなかったことくらいだ。

何故だか、伍作の刀を鍛えるための窯の炎はその後十年燃え続けた。
水をかけても消せなかった。

伍作の作業所からは鉄臭い匂いがずっとしていた。刀の鉄の匂いと言うよりは、血が燃えている匂いだった。
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