てきすとぽい
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第12回 てきすとぽい杯〈紅白小説合戦・白〉
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雪
(
Wheelie
)
投稿時刻 : 2013.12.14 23:46
字数 : 508
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雪
Wheelie
百年前に起こ
っ
たいくつかの核爆発が原因で、この星の地軸はずれてしま
っ
た。人間たちは気付いていなか
っ
たのだ。自分たちが大きな力を持ちすぎてしま
っ
たことに。
「またそれで遊んでいるの」
ヒカルの声に、ユキエはカメラを一時停止する。
「うん、おもしろいよ」
シ
ェ
ルター
から見つけた小型の映像録画装置。た
っ
た今録画した映像をヒカルに見せる。
「雪ば
っ
かりだね」
「うん、それと星空」
北半球のほぼ全域に、もう昼は訪れない。氷と夜空に覆われた世界。
「操作方法はなんとなくしか分からないけど、このボタンはなんだろ」
適当に押したボタンが、蛍色に光る。
「ヒカルを写してあげる」
彼女は恥ずかしがるように後ろを向く。雪と同じ色の服が風に揺れる。
「昔の服
っ
て、植物から作られてたらしいよ」
「乳製品じ
ゃ
なくて?」
「うん」
二人とも植物を見たことがなか
っ
た。家畜は微生物から合成された飼料を食べ、彼女たちはその乳と肉、骨と毛皮までを余すことなく使う。そうや
っ
て生き延びてきたのだ。
「植物」
ヒカルは星を見ながらなにかを考えている。
「見てみたい?」
ユキエの言葉に彼女はゆ
っ
くりと振り向き返事をする。
「花を見てみたい」
誰に届くわけでもない言葉を、小さく吐き出した。
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