てきすとぽい
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第一回 てきすとぽい杯
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夢は空高くに
(
ジュニー
)
投稿時刻 : 2013.01.19 23:35
字数 : 1214
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夢は空高くに
ジュニー
僕は激しい揺れで目を覚ました。
ベ
ッ
ドで半身を起すと僕は周りを見回した。
本棚やテレビ、机の上のノー
トパソコンにPS3が激しく振動していた。
こ、これは地震だ!!
僕は慌ててベ
ッ
ドから飛び出すと自室のドアを開けた。
ドアを開けた僕は愕然とした。
そこには大平原が広が
っ
ていたからだ。
自室の揺れはさらに激しさを増していた。
僕は仕方なく大平原へと足を踏み出した。足の裏の草の感触がくすぐたか
っ
た。
後ろを振り返ると自室は完全に崩れ去
っ
ていた。
僕は果てしなく続く平原を歩き始めた。
父や母は大丈夫だろうか?
そんな心配をしながら平原を途方もなく歩く。
暖かい陽射しを浴び汗をかいた僕は上着を脱ぎ黙々と歩いた。
遥か先に大きな木が見えた。
僕はそれを目指し走り始めた。
木にどんどん近づいて行く。そして、その木陰に人が座
っ
ているのが見えた。
幼い少年のようだ
っ
た。頭には野球帽をかぶ
っ
ている。
僕は走るスピー
ドを上げ少年に近づいた。
少年はポ
ッ
プコー
ンを食べながら、空を見つめていた。
少年は僕が近づいても空を凝視しながらポ
ッ
プコー
ンを食べるのを止めなか
っ
た。
「君はこんなところで何をしているの?」
僕は声をかけた。少年は答えない。
「ここは一体どこだい?」
僕はめげずに声をかける。
少年は空を見上げながらポ
ッ
プコー
ンを食べ続けた。やはり質問には答えてくれなか
っ
た。
僕は仕方なく少年の隣に腰を下ろし、一緒に空を見上げた。
10分ほど時間が経
っ
た。
少年はポ
ッ
プコー
ンを食べ終わ
っ
たようだ
っ
た。
そして、
野球帽を取り僕の方に振り向いた。
あ
っ
!
驚きでおもわず声が出た。
少年の顔が幼い頃の僕とそ
っ
くりだ
っ
たからだ。
「吃驚した」微笑みながら少年が言
っ
た。
「君は誰だい?」恐る恐る僕は訊く。
「僕は君、夢を持
っ
ていた頃の君」
少年はそう答えた。声のトー
ンが少し下が
っ
た気がした。
少し沈黙が続いた。
「僕は未来の僕に、君に、夢を諦めてもらいたくないんだ!!」
少年は真剣なまなざしで強い口調で僕に言
っ
た。
そうか、そう言うことか。
僕は上着を脱ぎTシ
ャ
ツにな
っ
ていた僕の右腕を見た。
去年手術した右肘の傷跡がく
っ
きりと残
っ
ていた。
昨年、僕は右肘を手術し『プロ野球選手』になるという夢を諦めた。
そう、
あの崩壊してしま
っ
た自室のように僕の夢は崩れ去
っ
たのだ。
僕は幼い頃の僕の視線を強く見返して、
「諦めずに頑張るよ!!」と強く言い返した。
少年はニコ
ッ
と微笑むとまた空を見上げはじめた。
僕も同じように空を見上げた。
*
ピ
ッ
ピ
ッ
ピ
ッ
ピ
ッ
・・・・・
という目覚まし時計の電子音で僕は目を覚ました。
テレビも本棚も机の上のノー
トPCにPS3もすべて何時も通りだ
っ
た。
昨年、諦めた夢。
年が明け初めて見た初夢で僕は夢を取り返した。
僕はまだ16歳だ。
僕はベ
ッ
ドから起きると、ドアを開け廊下から玄関へ出た。
玄関の扉を開け、外に出る。
冷たい空気が僕の頬に当た
っ
た。
僕は空を見上げた。
幼い頃の僕と、少年と、見上げた空がそこにはあ
っ
た。
<了>
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