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一発逆転! 上半期ベストを狙え! 愛のいじり小説大賞
〔 作品1 〕
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シャン氏はぷっと笑う
(
茶屋
)
投稿時刻 : 2014.05.23 21:59
最終更新 : 2014.05.31 19:56
字数 : 2274
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2014/05/31 19:56:30
-
2014/05/29 21:06:18
-
2014/05/23 21:59:43
シャン氏はぷっと笑う
茶屋
このお話はもちろん虚構だ。だから実在のシ
ャ
ン氏やその他の人物、団体とは一切関係がない。けれども世の中のだいたいは虚構で出来上が
っ
てるものだと僕は思
っ
ているし、虚構と現実の違いが僕にはよくわからない。
シ
ャ
ン氏と初めて出会
っ
たのは小学校から下校途中だ
っ
たか、出張先へ向かう新幹線の中だ
っ
たか、あるいは夢遊病の果てにたどり着いた深夜の公園かもしれない。最初の出会いの可能性はいろいろあるけれど一番可能性が高いのが大学時代に東南アジアへ旅行へ行
っ
たときだろうと思う。その当時も方向音痴だ
っ
た僕は手持ちの地図と路上の看板に貼られた地図を照らし合わせながら首を傾けたり唸
っ
たりしていた。
「どうかしたのかに
ゃ
あ」
そんな風に変な語尾で話しかけてきたのがシ
ャ
ン氏だ。その変な語尾のせいでそれが日本語だと認識できなか
っ
た僕は思わず片言の英語で返事をしてしま
っ
て、しばらく意思の疎通がうまくいかなか
っ
た。
「や
っ
ぱり掲示板が足りないんじ
ゃ
に
ゃ
いかな」
ようやく相手の言語が日本語だという事に気づいて、相手の顔を見る。確かに日本人だといわれてみれば日本人だし、じ
ゃ
あ言われなか
っ
たら日本人じ
ゃ
ないのかと言われると首を捻る。日本人にも現地人にもいそうな気がするし、そもそも僕が日本人と現地人を日焼けの差ぐらいでしか区別がついてない可能性も大いにありうる。じ
ゃ
あシ
ャ
ン氏はどんな顔なのかと問われると僕も大いに困
っ
てしまうのだけれど、だいたい右のような顔だ
っ
たと思う。(●w●)/
「掲示板ですか?」
「うん、掲示板」
「はあ」
確かに目の前にあるのは看板で地図が貼られているので掲示板と言えなくもない。
けれども僕が道に迷
っ
たのは方向音痴のせいであ
っ
て、掲示板が足りないからではない。
「や
っ
ぱり掲示板が足りない。よし、君が掲示板設置委員会の会長だ」
「へ?」
「じ
ゃ
、あとは頼んだよ」
そうい
っ
てシ
ャ
ン氏はその場を立ち去
っ
て行
っ
てしま
っ
た。
何だ
っ
たのかよくわからない。しかも結局道を聞かずじまいだ
っ
たので、僕はその後も道に迷い続ける羽目にな
っ
た。
シ
ャ
ン氏の二度目に出会
っ
たのは銀河帝国に攻め入るレジスタンスの戦艦の中だ
っ
たか、嘆きの川で泳いでいる時だ
っ
たか、あるいは幽霊屋敷で友人がう
っ
かり憑りつかれた時だ
っ
たかもしれない。二度目も出会いも色々と可能性があるのだけれど、クリスマスだ
っ
たと思う。
町中にはサンタクロー
スがたくさんいて、カ
ッ
プルもたくさんいた。あんまり僕には関係ない行事だ
っ
たのだけれども、ケー
キでも買
っ
て帰るかななんて思いながらとぼとぼと歩いていた。
「メリー
クリスマス (●w●)/
」
なんてサンタクロー
スに声をかけられても無視して通り過ぎようとしたのだが、ふと思うところがあ
っ
て振り返
っ
た。
「なにや
っ
てるんすか」
シ
ャ
ン氏だ。サンタクロー
スの格好ではあるが、間違いない。
「ふ
っ
ふ
っ
ふ。よく気が付いたね会長」
気づかれなか
っ
たらどうするつもりだ
っ
たのだろうかと思いはしたものの、僕が気づかないところで別の誰かが巻き込まれただけのような気もする。
「狐を見なか
っ
たかかに
ゃ
あ」
「狐ですか?」
「うん、狐」
唐突に狐と言われてもよくわからない。果たしてシ
ャ
ン氏の指す狐がイヌ科の動物のあのキツネを指しているのかどうかもわからない。
「見なか
っ
たと思います」
真面目に取り合うのも億劫なので適当に答える。
「そうか。裏切り者は消さなくち
ゃ
いけないんだけどに
ゃ
あ。見つけたら教えてち
ょ
」
そう言
っ
てシ
ャ
ン氏は白い袋からM4カー
ビンを取り出し、僕に渡した。
多分、クリスマスプレゼントではない。一緒に裏切り者を狩れということなのだろう。
シ
ャ
ン氏に三度目に出会
っ
たのは、面倒だから省略する。
シ
ャ
ン氏に四度目に出会
っ
たのは夜の墓場で運動会だ
っ
たか、スピンオフされたフ
ァ
ンタジー
作品の中であ
っ
たか、あるいは刑務所の中だ
っ
たかもしれない。四度目も出会いも色々と可能性があるのだけれど、多分バトルロイヤルに巻き込まれてしま
っ
た時の可能性が高い。
僕は戦争とか喧嘩というものがどうにも不得手なものだから逃げ回
っ
てばかりいたのだけれど、ところどころでシ
ャ
ン氏と遭遇した。
遭遇するたびに「海賊王を見なか
っ
たか?」だとか「漱石はどこにいるか知
っ
ているか?」などと聞かれたりしたのだけれども、そもそも逃げ回
っ
てはいるものの誰とも遭遇していないし、そもそも何から逃げているのかもよくわか
っ
ていない。
「さあ?あ
っ
ちじ
ゃ
ないですかね?」
そんな風に毎回適当に答えて、
「さんき
ゅ
ー
べりー
ま
っ
ち (●w●)/
」
という御礼を言われるのだが、心が痛まないわけでもない。痛まないわけでもないがそれほど痛いわけでもない。だいたいこのバトルロイヤルというもの自体がシ
ャ
ン氏の企みのような気がする。
シ
ャ
ン氏はだいたいいつも何か企んでいて、だいたい何か起きた時にはシ
ャ
ン氏の影が背後に見え隠れするし、シ
ャ
ン氏が現れるのは大抵何かが起きる前兆でもある。タイで起きた政変や世界中に突然掲示板が乱立された事件、あるいは血のクリスマス事件、その他もろもろだ
っ
てシ
ャ
ン氏の仕業だ。何でもかんでもシ
ャ
ン氏の仕業にする
っ
て言うのは何かしらの陰謀論に聞こえるかもしれない。そもそもシ
ャ
ン氏
っ
ていう存在が僕の妄想でしかなくて、虚構の存在なんじ
ゃ
ないか
っ
て疑
っ
てみたりもする。けれども虚構を作り出すのは僕の役目じ
ゃ
ないし、や
っ
ぱり虚構を作り出すにしろその企みをするのはシ
ャ
ン氏なのだ。
「結局シ
ャ
ンさんは何者なんですか」
そう僕は尋ねるのだけれど、シ
ャ
ン氏はぷ
っ
と笑
っ
て答えてくれないのだ。
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