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サウス・アイランド
大沢愛
投稿時刻 : 2014.06.01 22:09 最終更新 : 2014.06.01 23:00
字数 : 7280
5
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コメント
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 最後に大沢愛氏の「サウス・アイランド」だが、この作品は最終候補に残った中では最大のボリュームとなった。
 オムニバス形式で語られるストーリーは、1~4までが「南の島でした」という共通の一行からはじめられる。
 メルヘンな語り口調ではあるが、いわゆるお花畑的世界ではなく、キツネとうさぎが罵り合う見せ場も用意されている。選考委員の一人によると、この場面は野球のヤジと似ているという。もしかしたら、作者は野球ファンなのかもしれない。持てるものを出し切るのが応募者の使命である以上、これも一定の熱量を持つ作品と呼べるだろう。
 この作者には独特の生理感というか、「おやっ」と思わせる表現が含まれることがある。よい意味で、読者を立ち止まらせる器量を備えているのかもしれない。今回の3作の中では、いささか観念的な傾向が強く思えるが、それ故に前述の個性が醸し出されているようだ。
 終盤、郵便配達人がエチゼンクラゲに乗るシーンは、どことなく「星の王子さま」を彷彿とさせる。結末を読者の想像に任せるという点では、メルヘンの鉄則どおりと言えるが、淡々としたラストは選考の場では意見が分かれた。しかし、これだけのボリュームである以上、アブストラクに終わらせるほうが余韻が残るのも確かである。
 さて、長年この賞の選考委員を務めさせて頂いたが、今回を以てその役目を辞することとした。後任にはすでにひやとい氏が就くと聞いている。説明するまでもなくベテラン作家である氏が後釜となり、ひとまず胸をなでおろしている。
 編集部、選考委員の皆様にはお世話になった旨、お礼を申し上げたい。今後も本賞の発展を願います。
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優しいような少し寂しいような文章が読んでいてとても心地よかったです。愛に溢れている。
2014.06.08 23:02

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柔らかい文体で童話のような語り口なのに、ちょっとセンチメンタルなところがいいですね~。郵便配達人が幸せになれるといいなあ。
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