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桃太郎(海賊版)
投稿時刻 : 2014.05.31 16:27 最終更新 : 2014.06.01 14:29
字数 : 3127
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コメント
※ このコメントには、作品の展開や結末に関する内容が含まれています。
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 次に永坂暖日氏の「桃太郎(海賊版)」だが、私はこの作品を一種の群像劇として読んだ。
 鬼を退治するために、キツネやうさぎ、骸骨がパーティを組む訳だが、旅を進めるに従って彼らは狩猟本能と思慕に翻弄される運びとなる。骸骨とキツネは恋仲となり、うさぎはキツネを狩りたい欲求に支配される。鬼退治の後に狩ることを許可した点から、リーダーである海賊王は現実主義者であることがうかがえる。
 水と油というよりは、骸骨とキツネを除けば、およそ共通の目的を持つ者同士とは思えぬほどパーティ内は互いに無関心である。群像劇としては個々の関わりが表面的ではないかとの指摘もあったが、そもそもは他人同士の間柄である。ベクトルが異なる者たちが交わりきらぬまま鬼が棲む島へ辿りつく。現実社会のメタファーとして捉えると、ある程度の説得力を持つのではないかと私は評価した。
 ただし、このように無関心な者同士、あるいは敵対する者同士の群像劇ゆえか、主人公が誰なのか判然としない向きがある。小説としては俯瞰して眺めるタイプのものと言えるだろう。冒頭で述べた通り、これも時代の為せる業と呼べるにちがいない。
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なんか納得の結末だったw
しゃんさんの「現実社会のメタファー」ってコメントになんかちょっと納得してしまいました。確かに桃太郎とてきすとぽいみたいなネット上の集会所での繋がりって通ずるところがあるのかも。
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