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2014.05.10 18:11
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2014.05.10 18:18
こんなに明確なコンセプトで、あやまり堂くんはボクちんをフォローしているのに。。。
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今回も本賞には多数の作品が寄せられた。最終的に3作品に絞られた訳だが、奇しくも似通ったテーマであるのはやはり時代のせいと言えるかもしれない。
たとえば、「シャン氏はぷっと笑う」の茶屋氏。実は私はこの作者の名前を他の賞でも見掛けている。今回の応募作に目を通し、意外だったのは作風の変化である。以前はトリッキーな設定やマジックリアリズム調の作品を得意としていた記憶があるが、今回の応募作ではそれらはなりをひそめている。むしろ3作の中で、最も本賞の傾向にアジャストしてきた節がある。
アジャストというと言葉は悪いが、選考委員の中にはこの変化を好意的にとらえる声が多く見受けられた。実際、時系列的に語られるシャン氏との関係は、奇をてらわず素直な小説と言えるだろう。特に選考委員の方々が評価したのは、最後の場面である。ある程度の関係を築き上げたシャン氏の正体を、ついに主人公は掴むことが出来ぬまま話は終わる。果たしてそのようなことが現実にあるのだろうか。「結局何者なのか」と問う主人公の独白はよくよく考えれば不自然にも思えるが、それを破綻なく書ききったところに作者の力量が垣間見える。
あたかも切り札のように最後の最後で自らのスタイルに転換させた手法は、意欲を感じさせるものだった。これまでの作品に比べれば若干のぎこちなさはあるが、読者の目を意識する才がこの作者には備わっているのではという、周囲の選考委員の意見には同意する。
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次に永坂暖日氏の「桃太郎(海賊版)」だが、私はこの作品を一種の群像劇として読んだ。
鬼を退治するために、キツネやうさぎ、骸骨がパーティを組む訳だが、旅を進めるに従って彼らは狩猟本能と思慕に翻弄される運びとなる。骸骨とキツネは恋仲となり、うさぎはキツネを狩りたい欲求に支配される。鬼退治の後に狩ることを許可した点から、リーダーである海賊王は現実主義者であることがうかがえる。
水と油というよりは、骸骨とキツネを除けば、およそ共通の目的を持つ者同士とは思えぬほどパーティ内は互いに無関心である。群像劇としては個々の関わりが表面的ではないかとの指摘もあったが、そもそもは他人同士の間柄である。ベクトルが異なる者たちが交わりきらぬまま鬼が棲む島へ辿りつく。現実社会のメタファーとして捉えると、ある程度の説得力を持つのではないかと私は評価した。
ただし、このように無関心な者同士、あるいは敵対する者同士の群像劇ゆえか、主人公が誰なのか判然としない向きがある。小説としては俯瞰して眺めるタイプのものと言えるだろう。冒頭で述べた通り、これも時代の為せる業と呼べるにちがいない。
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最後に大沢愛氏の「サウス・アイランド」だが、この作品は最終候補に残った中では最大のボリュームとなった。
オムニバス形式で語られるストーリーは、1~4までが「南の島でした」という共通の一行からはじめられる。
メルヘンな語り口調ではあるが、いわゆるお花畑的世界ではなく、キツネとうさぎが罵り合う見せ場も用意されている。選考委員の一人によると、この場面は野球のヤジと似ているという。もしかしたら、作者は野球ファンなのかもしれない。持てるものを出し切るのが応募者の使命である以上、これも一定の熱量を持つ作品と呼べるだろう。
この作者には独特の生理感というか、「おやっ」と思わせる表現が含まれることがある。よい意味で、読者を立ち止まらせる器量を備えているのかもしれない。今回の3作の中では、いささか観念的な傾向が強く思えるが、それ故に前述の個性が醸し出されているようだ。
終盤、郵便配達人がエチゼンクラゲに乗るシーンは、どことなく「星の王子さま」を彷彿とさせる。結末を読者の想像に任せるという点では、メルヘンの鉄則どおりと言えるが、淡々としたラストは選考の場では意見が分かれた。しかし、これだけのボリュームである以上、アブストラクに終わらせるほうが余韻が残るのも確かである。
さて、長年この賞の選考委員を務めさせて頂いたが、今回を以てその役目を辞することとした。後任にはすでにひやとい氏が就くと聞いている。説明するまでもなくベテラン作家である氏が後釜となり、ひとまず胸をなでおろしている。
編集部、選考委員の皆様にはお世話になった旨、お礼を申し上げたい。今後も本賞の発展を願います。
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これぞまさに愛に溢れたいじり小説・・・どことなくふわふわし読者を煙に巻いているような文体がまた謎めいたシャン氏そのものみたいな不思議な心地でした
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なんか納得の結末だったw
しゃんさんの「現実社会のメタファー」ってコメントになんかちょっと納得してしまいました。確かに桃太郎とてきすとぽいみたいなネット上の集会所での繋がりって通ずるところがあるのかも。
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優しいような少し寂しいような文章が読んでいてとても心地よかったです。愛に溢れている。
(退会アカウント)
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まさにいじり小説。いちばん最初にこれを投稿されたので、後続のハードルは上がりました。
シャン氏が飄々としてとらえ所のない人物として描かれている一方で、語り手もシャン氏に負けず劣らずそうだったりするからおもしろいです。
(退会アカウント)
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柔らかい文体で童話のような語り口なのに、ちょっとセンチメンタルなところがいいですね~。郵便配達人が幸せになれるといいなあ。