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第20回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
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問いかける賢者イーギィ
 投稿時刻 : 2014.08.17 02:46
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問いかける賢者イーギィ
犬子蓮木


「さあ願いはなんだ?」
 森に住む賢者は、やてきた勇者に問うた。賢者は小屋の前にある切り株に座り、漆黒のローブごと片膝を抱えている。
「三度まで聞いてやる。理由がおもしろければ叶えてやろう」
「あなたがかの有名な賢者イー様ですか?」
「どんな噂だろう。うるわしの魔女とかか?」
「魔王と対等に戦た者……
「なんだそれか」
 賢者は魔法を使い勇者とその仲間たちごと異空間へと移動した。異空間へ浮かぶ切り株に座たまま賢者は勇者たちに話す。
「信じてもらえたようだ」賢者は勇者たちのひきつた顔を見て笑う。「さあ願いをどうぞ」
「世界の平和のために仲間になていただきたい」
「イヤだね」
 賢者は言う。
「世界の平和とはなんだ? 魔族のいない世界のことか? 耳を見ればわかるだろう。わたしの半分は魔族だ。残り半分がお前たちと同じ人間。この世界もそれではダメか?」
「魔王は罪もない人間を殺すだろ!」勇者の仲間の女が言た。
「お前たちだて殺すだろう。魔物を家畜を」賢者は笑う。「別にいいんだ。お前たちが魔族を憎むことも殺すことも悪いことではない。ただ世界の平和という理由がおもしろくなかただけだ」
 賢者は問いかける。
「さあ願いはなんだ? あと二回は聞いてやる。今度こそおもしろい理由を言え」
「魔王を倒すために仲間になていただきたい」
「なにも変わていないじないか。そんなんで仲間になたとしても、わたしは魔王を倒したあとでお前を背後から殺すよ。均衡を保つために。そうしたら魔王と勇者を欠いた世界で戦争だ。それでもいいか?」
 勇者は答えない。
「正しい答えを教えてやろう」賢者は笑た。「『あなたのことを愛している。僕のために、一緒にきてほしい』だ。それでついて行く。愛する者のために戦おうじないか」
「ふざけるな!」勇者の仲間の女が言た。
「なんだもう言たあとだたか?」賢者はククと笑う。「別に本心でなくともかまわんさ。その女が今のお前のなんであるかもわたしは気にしない。ただ言葉と今後の扱いを気にするだけでいいんだ。世界の平和のためになら安くはないか?」
 勇者は答えない。
「最後のチンスだ。世界と恋人どちらかを選べ」賢者は言う。「ひとつだけ安心させてやる。真実の恋を選ぶ者を待ていたなんて、そんな後出しはしない。さきの言葉でただ願いが叶う。それだけだ」
 賢者は勇者を見る。
 にこりと微笑んだ。
「さあ願いはなんだ?」          <了>
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