第20回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
 1  26  27 «〔 作品28 〕» 29  47 
棺桶ジョニー
投稿時刻 : 2014.08.17 13:27 最終更新 : 2014.08.17 13:31
字数 : 1000
5
投票しない
更新履歴
- 2014/08/17 13:31:42
- 2014/08/17 13:27:40
棺桶ジョニー
雨之森散策


「てめえ! この棺桶にてめえを突込んで、俺のクニまで引き摺て帰てやるぜ!」
 これが棺桶ジニーの決め台詞だと言われている。
 彼は少年の頃に、名うての賞金稼ぎだた実兄《喪服のビリー》の影響を受け、この世界に入たと言われている。当時は地味な賞金稼ぎだたが、ビリーを賞金首によて殺されてからは背中に棺桶が背負われる事となる。
 ビリーは列車強盗《猫声のロブ》を追ている最中、大勝負を前に仕事着の喪服を仕立直している所をロブに狙われた。兄を奪われたジニーは復讐を決意する。
 兄の墓の下にロブの棺桶を敷いてやる。
 ジニーはロブの体格に合わせた棺桶を用意させ、それを背負てロブを追い続けた。
 それから半年、とうとうロブを酒場まで追い詰めたジニーは棺桶を背負い続けた疲労によて疲労困憊だた。しかしジニーは酒場の前に立ちロブに決闘を申し込む。
 このジニーの姿を酒場の窓から覗き見たロブは勝利を確信して決闘を承諾、ようやくジニーの前にその姿を見せた。
 ジニーは背負た棺桶を横に置いてから
「これは、てめえの棺桶だ!」
 と息を巻いた。ロブは嘲笑した。その棺桶を背負てきたためにへろへろになているのだから。
 嘲笑され、怒たジニーの口からここで上記の名セリフが飛び出す事になる。
 さあ決闘の幕開けだ。
 しかし決着はあけなかた。ロブは素早く引き金を搾りジニーの心臓を撃ち貫いた。ジニーはよろめき自分が傍らに置いた棺桶へ倒れこんだ。
「口ほどにもねえ」
 ロブは棺桶へ歩み寄る。ジニーへの一発は間違いなく心臓を捉えていた筈だ。
 棺桶は動かない。だが、それがロブの最期に眼にした物となた。
 ジニーは棺桶の横に開いた隙間からロブの眉間を狙ていたのだ。撃たれた筈の胸には棺桶の板材が仕込んであたのだが、これは後年まで偶然でなく最初から作戦だたと譲らなかた。
 こうして悲願だた兄の仇を討たジニーだが、ロブの死体を棺桶にしまうのはどうかと思い返した。
 棺桶だけでも疲労困憊になるのに中身入りで故郷にまで帰るとなると更に疲れるだろうし、きと臭い。
 そこら辺をちんと考えたジニーは棺桶だけを引き摺て故郷に帰ることにした。
 以後ジニーは賞金稼ぎとして活躍するが、そのスタイルは《死んだふりをして棺桶に隠れて狙い撃つ》というものであり一部の賞金稼ぎからは「卑怯だ」「チート乙」などと言われ物議をかもしたという。
← 前の作品へ
次の作品へ →
5 投票しない