てきすとぽい
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第20回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
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ディーバ・クイーンドラゴン
(
木下季花
)
投稿時刻 : 2014.08.16 20:08
最終更新 : 2014.08.16 20:33
字数 : 1000
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2014/08/16 20:33:24
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2014/08/16 20:14:43
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2014/08/16 20:10:49
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2014/08/16 20:08:07
ディーバ・クイーンドラゴン
木下季花
遥か昔。
とある国に、歌うことを好む竜がいた。
竜は人間を襲うことはなか
っ
た。しかし人間の方は、竜を殺そうとしていた。人々は竜が危険な存在であると信じ込んでいたからだ。
竜は逃がれるように竜の里へと戻
っ
たが、そこでも竜は仲間外れにされてしま
っ
た。飛行の技術が拙く、歌ば
っ
かり唄
っ
ていたので、仲間の竜からは気味悪がられていたのだ。そうして住む場所を見つけられない竜は、渓谷の奥深い場所で孤独に生を送ることにな
っ
た。
ある日。
竜の住む場所に、深い怪我を負
っ
た一人の青年がや
っ
てきた。
崖から落ちて怪我をしたのだろう。骨折をし、青年は痛みの余り呻いていた。
竜は歌
っ
た。竜の歌には、生き物を癒す力があ
っ
た。竜は傷ついた青年を助けようとしたのだ。
それから一月ほどが経ち、青年の傷が癒えると、竜は青年が寝ている間に立ち去
っ
た。人間に姿を見られて、同じ場所に住むのは危険だと思
っ
たからだ。青年も、怪我が治れば、自力で町まで戻れるだろう。そして竜はまた住む場所を変え、遠くの森まで飛んだ。町から離れるように。孤独に。
時は流れ、竜はかつて住んでいた町から遠い場所にある洞窟に住んでいた。その洞窟に、大勢の人間がや
っ
てきた。ざ
っ
と見るに、その数は百。彼らは竜の体が高く売れると知
っ
て、竜の元にや
っ
てきた人間たちだ
っ
た。竜は戦いが苦手だ
っ
た。それに加え、竜は老いのため衰え始めていた。もはや飛ぶことも叶わず、歌う声も枯れ、戦う力などとうに残されていなか
っ
た。竜は死を覚悟した。この人間たちの生活のために、私は死ぬのか。そう思い、竜は目を閉じる。人間たちは、その知識で作り上げた武器で、竜を殺そうとしていた。竜は死を覚悟して、彼らの雄叫びを受け入れた、その時。
「歌を好む我が友人よ! 長く待たせたな!」
勇敢な顔つきをした年老いた人間が、数え切れないほどの人間を引き連れ、力強く微笑んだ。その顔に微かな見覚えがあ
っ
た。そう、それは竜がかつて助けた青年だ
っ
た。彼は王位を受け継いで国王となり、かつての恩義を返しに来たのだ
っ
た。彼はいつかの優しい竜をず
っ
と探し続け、竜を救うことを決めていた。
竜はかつての青年がず
っ
と心に抱き続けてくれていた恩義に感動し、長年忘れていた咆哮をあげた。それは気高く、美しく、歌うようにのびやかに、国中の人間を癒すように、広が
っ
てい
っ
た。
そして竜は、竜と共存する国の王と共に、生涯を送
っ
たのである。国王の妃として。
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