てきすとぽい
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第20回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
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くらげ2号&くらげ3号
(
伝説の企画屋しゃん
)
投稿時刻 : 2014.08.16 21:53
字数 : 1000
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くらげ2号&くらげ3号
伝説の企画屋しゃん
やはり今夜も聴こえてきた。
何が聴こえてきた
っ
て? それはあの歌声に決ま
っ
ている。
「おー
そー
れー
みー
おー
こー
んやもてつやさー
♪ おー
そー
れい
っ
たかー
うららららー
♪」
「小林くん、おつかれ。今日も家に帰れないのかい?」
デスクを片付けると、僕は歌声の発信元に声を掛けた。
「おー
そー
れー
みー
おー
♪ パー
トナー
の野郎がー
長期休暇でカリブだしねー
うららららー
♪」
「永坂くんや茶屋くんたちは、と
っ
くに仕事を終えて飲みに行
っ
ち
ゃ
っ
たけど。小林くん、今日で何日めだ
っ
け?」
「3日めだよー
おー
そー
れー
みー
おー
♪ 窓の外は真夏なんだ
っ
てねー
おー
そー
れー
い
っ
たー
♪」
モニタを見詰める目が、瞬きゼロ。す
っ
かり壊れてしま
っ
た小林だが、もともとが職人肌の開発者だ。むしろパー
トナー
不在なのをいいことに、やりたい放題や
っ
ているのだと見る向きもある。
「真夏というより真夜中だよ、小林くん。終電がなくなるから僕は帰るけど、君にいいものをあげようか」
「おー
そー
れー
みー
おー
♪ もらえるのなら なんでももらうよー
♪ 短納期の仕事も余裕でアー
ー
ッ
プさー
お
ぉ
それ見
ぃ
やー
♪ なんち
ゃ
っ
てー
♪」
「もうじきリリー
スする<オー
シ
ャ
ンバトル くらげ界を制する者>の隠しカー
ドなんだけどね。くらげ2号
っ
ていうんだ。僕がデザインした中では、わりと気に入
っ
ていてね。デ
ッ
キの全キ
ャ
ラのステー
タスを800%ア
ッ
プさせるサポー
トキ
ャ
ラなんだ」
「おー
そー
れー
みー
おー
♪ 800%
っ
て バランスくずれてる
っ
てばー
♪ うららららー
♪」
「ま、モデルは君なんだから、文句を言うな。いつもパー
トナー
の陰に隠れているけど、縁の下の力持ち
っ
てね。いや、いつも君の仕事ぶりには感心しているんだよ」
「おー
そー
れー
みー
おー
♪ おー
そー
くー
なー
るー
と 電車なくなー
るー
よー
♪」
「そうだな。じ
ゃ
あ、帰るよ。困
っ
たことがあ
っ
たら、いつでも僕に言
っ
てくれ。割り勘なのをいいことに飲み会で常人の5倍飲む永坂くんや、月曜はさぼ
っ
てばかりの茶屋くんとは、ちがうんだ。この部署だ
っ
て、僕の企画でも
っ
ているようなものだしね。僕とは仲良くしておいたほうが、君のためになるに決ま
っ
てるよ」
それだけアピー
ルすると、僕は会社を出た。
今度の人事では、大方の予想を覆して小林がリー
ダー
になるらしい。この俺様を差し置いて、ふざけたことをしてくれる。
電車に乗ると、俺はアプリを立ち上げた。
本当のお気に入りは、くらげ3号。
得意技は、謀略と世渡り上手。
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