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お腹の虫のクオリア
(
茶屋
)
投稿時刻 : 2014.09.20 23:35
字数 : 574
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お腹の虫のクオリア
茶屋
誰かのお腹が鳴
っ
たはずなのだが、そこには誰もいない。
無人の空間だけが広が
っ
ている。
だが、確かにはそこでは音が鳴
っ
たのだ。
空気と胃腸の壁面とが振動する、ぐ
ぅ
、という音が鳴
っ
たのだ。
しかしながらそれを鳴らすはずのものはそこにはおらず、それを聞くものもいなか
っ
た。
誰も聞くことのない音が鳴
っ
た。
誰も聞くことがなか
っ
た音は果たして音としてそ
っ
として存在したのだろうか。
物理的な振動としては確かに存在しただろう。
だが、それは誰にも聞かれず、振動は鼓膜を振るわせることもなくツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨を伝わらず、蝸牛で電気信号に変換されることもなか
っ
た。
音のクオリアを生じさせることもなく、誰もそれを意識することはない。
お腹の音と感じられるはずの振動は、誰にも感覚されることはなか
っ
たのである。
果たしてそれは音であ
っ
たのか。
それとも誰も聞くものがいなければただの物理的振動であ
っ
たのか。
音とは何か。
音は人間に感覚されて、クオリアに想起されて初めて音たりえるのか。
例えば人間に感覚されることのない周波数は音たりえるのか。
超音波というものがある。
人間の耳には聞こえない音だ。
やはり人間が感じずとも音は音なのか。
ならば、やはり誰かのお腹が鳴
っ
たはずなのだ。
だが、誰も聞いたものがいないのだ。
本当にそんな音が鳴
っ
たのかと聞かれたら証明のしようがない。
ぐうの音も出ない。
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