第21回 てきすとぽい杯
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投稿時刻 : 2014.09.20 23:43 最終更新 : 2014.09.20 23:46
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- 2014/09/20 23:46:39
- 2014/09/20 23:45:17
- 2014/09/20 23:43:41
木下季花


誰かの携帯電話が鳴た。
この時の「誰か」を、yとする。

問1:
y×(n+i+q)=xである。
次の文章を読み、xが何であるかを答えなさい。 


 yの携帯電話が鳴た。私はyがその電話に出るものかと思ていたのだが、yは電話に出なかた。yには恋人がいるはずだたが、電話は恋人からのものではなかたのかもしれない。私は喫茶店で友達と談笑をしているyの姿を、視線の端でずと捉え会話を聴き続けていたが、さすがに通話をしてきたのが誰であるかまではわからなかた。
 探偵事務所に来た依頼人から、yの尾行を頼まれた時に、私は戸惑た。さすがに仕事の依頼であるから、その困惑を表情には出さなかたが、内心ではひどく混乱していた。なにせyは、私がずとnしていた女性だたからだ。いつかqするつもりで狙ていたのだが、まさか仕事の依頼で彼女と関わることになろうとは。
 もしかしたら私の計画に気が付いたyが他人を使て私に揺さぶりをかけて来ているのではと疑い、依頼人をこそりと調査してみたのだが、明らかにyとは関係ない人物だたし、ただのyのストーカーまがいの男であることが分かた。
「お受け致します」
 私はその場で、依頼人に向かてそう言た。これはいい機会だと思たのだ。このような機会がなければ、私はいつまでも頭の中で計画を練り続けるだけで、実行に移すことなど出来ないように思えたから。
 私に与えられた依頼は、yの身辺を調査し、yの一日の主な行動を記録し、それからyの交友関係を依頼人に報告することだた。色々な伝手を使い、yの生い立ちや住所、交友関係を突き止め、それから一週間分のyの行動の記録し続けた。それをしてしまえば依頼は既に完了しているようなものなのだが(事実、中間報告の時点で依頼人は、私が想像する以上の満足感を得ているようだた)、しかし私は個人的な信念のもとでyを監視し続けている。この監視行動は、もはや公私混同だ。探偵としての矜持を破壊する行動だ。それは分かている。もし部下にバレてしまたら、信用を失うだけでは済まないかもしれない。だが、私はこのチンスを逃してはならないような気がするのだ。私はyをnし、qしたいのだから。 
 yは友人たちと喫茶店で、かれこれ二時間ほど会話を続けている。なぜ女性はこれほどまでに話す話題が尽きずに喋りつづけられるものなのだろうかと、女性を尾行をするときなどはいつも思うのだが、しかし彼女たちは私の欲する情報を簡単に教えてくれることもあるので、このお喋りは案外ありがたいと感謝することも多い。

 喫茶店で話し終わた彼女が友達と別れ、自宅万署に帰るのを私は追た。しかし私は油断していた。いや、油断しているつもりなど毛頭なかたのだが、yに見つかてしまたと言うことは、私はやはり油断していたのだろう。それとも私の尾行の技術が拙かたのか、あるいは彼女の勘が鋭かたのか。
「ねえ、ここ最近ずと私のことを尾けてるでし
 予想外に曲がり角を曲がた彼女の様子を見ようと、角まで小走りで近づいた時に、彼女の罠に引かかてしまた。明らかに私に気が付いていたし、私も彼女の方をじと眺めてしまていた。弾き返すのも不自然だたし、通り過ぎるのも不自然だた。
「私のこと好きなんでし
 yはぬけぬけとそう言た。私はそんなことないと叫びたかたが、それは出来なかた。
「三万円くれたら、ホテル行ても良いけど」
 
 金持ちの夫がいる癖に、こういうことをぬけぬけとする女なのだ、yは。そしてもちろん、男を引き寄せる美貌を持た女性だからこそ、それが成立するのだ。どんなにnし、qしようと決めている女性であても、yの美しさに、私はどうしようもなく惹かれてしまたのだ。どうせqするのなら、この女を滅茶苦茶にしてやりたい。好き勝手に玩んでやりたい。私は抑えられないほどの強い欲望を感じていた。胸を強調するニトのセーターに、肌にぴたりと貼りついたパンツは、抑え続けていた私の強い欲望を、引き出していた。私は抑えられない興奮を感じ、今すぐにでもこの女をホテルで犯してやりたいと思てしまた。この女はとんでもない悪女だ。そう思ていても、私は抗えなかた。無言でうなずき、彼女と共に近くのホテルへ向かた。
 いいんだ。ホテルで欲望を発散した後で、qすればいい。私はそう考えていた。

 yとの行為は素晴らしかた。私にはほとんど経験などなかたが、それはまさに素晴らしいとしか言いようがなかた。私の中でyをiにしたいと言う、歪んだ考えが浮かんだ。そしてその考えは頭から離れることg無かた。
「ねえ、もう我慢しなくてもいいんだよ?」
 彼女は私の肌を撫でながらそう言た。
「私があなたの父親を駄目にしたと思てるんでし。家庭を壊した張本人だと思てるんでし。だから私のことをnしてるんでし。でもね、あなたも分かるはずだよ。私のこの男性を惹きつける強い力はもうどうしようもないの。たとえ何かを壊そうが止めることなど出来ないし、そして相手の男も何かが壊れようが私を愛することをやめる事が出来ないの。だからね、私と会てしまたら、もうそれは壊れる運命にあたと言う事なんだよ。いわば、私は死神。でもね、死神と出会てしまた男は、死ぬまでは最高の至福を得られる。最高の愛を得られるし、もう絶対に味わうことが出来ない悦びの日々を享受できるの。ねえ、分かるでし。あなたもそうなるの」
 彼女はそう言いながら私の唇を舐め、それから私たちはもう一度行為に及んだ。今まで抑え続けた私の欲望は、搾り取られるように舞発を続けていた。そして私はもうyをiすると言う思考を頭から離すことなど出来なくなていた。Yに人生を狂わされ、自殺そしてしまた父の気持ちがわかる気がした。母が逃げ出し、多額の借金を負てでもyという女性を繋ぎ留めておきたいと言た父の気持ち。それは正しく、私がこの女に出会わなければ得られなかたであろう、紛れもないxを享受した時と全く同じ気持ちだた。yをnしqしたいと言う以前の気持ちに加え、出会てしまてからyの全てに溺れiしたいと言う歪んだ欲望を感じる、そしてその全ての歪んだ気持ちが一つに合わさてもたらされる圧倒的なxだ
 私も恐らく父と同じような運命をたどるだろう。恐らく依頼人の男もいつかはこの死神に引き寄せられ、死のベドの中に引きずり込まれて、その肉体と精神を骨までしぶられた後に殺されるのだろう。
 でもそれでいいのだ。もはやこのxを与えてくれるのなら、私は死んだて構わない。いや、彼女に殺されたいとさえ思う程だ。それくらいの素晴らしいxを彼女は与えてくれたのだ。それがちんと与えられるのなら、私は短い期間であろうと、彼女の近くいたい。それはむしろ、qにしたいとは逆の気持ちなのだろう。
 私は全財産を彼女のために与えた。そして彼女は私にxを与えてくれた。私は彼女のその、完璧なまでに美しい存在を啜りつづけながら、カマで首を弾き飛ばされるまでxに溺れ続けるだろう。
 私たちをそうやて殺すことこそが彼女の存在意義であり、彼女が抱え込む運命なのだから。私はただ単にその運命に引かかただけなのだ。醜い蝶のようにして。
 
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