てきすとぽい
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第22回 てきすとぽい杯
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かべどん
(
住谷 ねこ
)
投稿時刻 : 2014.10.18 23:41
字数 : 1110
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かべどん
住谷 ねこ
彼女ができた。
ついに。彼女ができた。
いや、別に今まで一度も付き合
っ
たことがないわけじ
ゃ
ない。
自分でいうのもなんだけど
僕はモテる。
背も高いし、運動神経もそこそこだ。
顔だ
っ
てか
っ
こいいとはいわないが
どちらかといえばいい方だと思う。
頭も普通だ。
だから、同学年ももちろん、下級生からも
告白されてつきあ
っ
たことがある。
ただ、長続きしないんだ。
たいてい長くても2週間で残念なことになる。
もともと中学生の付き合うなんてたいしたことをするわけじ
ゃ
ないけど
いつも同じ理由で振られる。
「狩谷くんて
ぇ
ー
、も
っ
とー
面白い人かと思
っ
た
ぁ
」
最初は、気が合わないだけだと思
っ
たけど
毎回そう言われるので
同じ学年の、いつもと
っ
かえひ
っ
かえ彼女のいるやつに
さりげなく聞いてみたんだ。
「狩谷さあ、キスしたことある?」
「え? 」
「しなき
ゃ
」
「え
っ
? え
っ
? え
っ
?」
「あいつら、待
っ
てるから」
「本当にしなくてもいいけど、しようとしないと失礼でし
ょ
う」
えええ?
つまんない
っ
て 面白くない
っ
て そういうこと?
話とかじ
ゃ
なくて?
えええ?
というわけで今回、僕はそいつのアドバイスに従
っ
て
最初の日に一緒に帰ろうと誘い(これはいつもと同じ)
次の日には、ふざけたふりしながら肩を抱き
3日目には、ち
ょ
っ
と冷たくして
なんだろうどうしたんだろう?と思わせておいて
壁ドンだ!!
ただキスしようとするだけじ
ゃ
ダメなんだ。
壁ドンだ。
ち
ょ
っ
と怖い顔して壁ドンして
それから相手の反応みながらそれに合うような
か
っ
こいいセリフを吐くんだ。
顔を近づけながら。
壁ドンだ。
壁ドンが大事だ。
あんまり強くてもだめだ。
痛くない程度に、でも男は力があるんだぞ
っ
てわかるように
壁ドン
壁ドン
そうして立てた壁ドンチ
ュ
ー
作戦は予定通りに進行し
ついに明日あたり壁ドン本番な雰囲気にな
っ
てきた。
もう頭は壁ドンでい
っ
ぱいだ。
こうきたらこう。
そしたら こうな
っ
てこうな
っ
てこう。
ハアハア。 ハアハア。
ノー
トに壁ドン壁ドン壁ドンと殴り書く。
よし、明日だ。
がんばれ自分。
壁ドン!!!!
-------------------
振られた。
予定通りに進めたのにまた振られた。
まだ壁ドンまで行
っ
てないのに。
「狩谷君、全然喋んないんだもん」 だ
っ
て。
確かに、壁ドンで頭い
っ
ぱいで
話に身が入らなか
っ
たのは確かだけど
そんなだ
っ
て まだつきあ
っ
て3日なのに。
が
っ
くり家に戻
っ
てうわの空で夕飯を食べていて
とどめをさされた。
弟が俺に聞く。
「にー
ち
ゃ
ん、かべどん
っ
てなに?」
ぎ
ょ
っ
??
「な ななな
っ
なにい
っ
てんだよ?」
「ノー
トにい
っ
ぱい書いてあ
っ
たよ かべどん
っ
て」
「いや だから えー
と おまえにはまだ」
「なんの妖怪?」
「
……
」
「ねー
なんの妖怪?」
「
……
」
なんか ものすごく疲れた。
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