第25回 てきすとぽい杯〈てきすとぽい始動3周年記念〉
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告白ボット
投稿時刻 : 2015.02.14 23:47
字数 : 783
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告白ボット
雨之森散策


 ひとつの告白をきかけに僕の毎日が告白であふれた。
 「秋藤くん、好きです」
 一週間ほど前に携帯が受信したメセージにはそんな胸をときめかせるようなことが書かれていた。
 相手はクラスの女子の坂本だ。かなり可愛い子だが、その告白を真に受ける前に僕ははたと冷静になてしまた。
 その日、僕は坂本にとりあえず「天安門事件」と返答してから長考に入た。
 最近になて学校に変な噂が流れている。
 SNSのアカウントをハクして不特定多数の異性へ勝手に告白してしまう「告白ボト」についての話だ。
 アカウントを乗ているのだから正確にはボトとは呼ばないのだろうが、告白の文章がどれも自動生成したようにワンパターンなことからボトの名前で定着してしまていた。
「秋藤くん、好きです」
 また告白。今度の発信元は有名アイドルのSだた。間違いなく告白ボトの仕業だ。
 それからも僕への告白は続いた。
「秋藤くん、私があなたの実の母親なの」
 これは担任の花山先生。
「秋藤くん、実は先日の定期健診で異常がみつかたの」
 これは保健の田辺先生。
「秋藤くん、あなたは地縛霊に取り憑かれているの」
 これはクラスの今岡。
 毎日毎日、僕は必ず誰かから告白された。しかし僕の毎日を埋め尽くした告白は僕の生活を彩るどころか、逆にどんどんと不安にさせていた。
 この頃になると学校中の誰もがが告白ボトによて何らかの被害――つまり告白を受けており、SNSを使た告白など真に受ける奴もいなくなていた。
 そしてある日、告白ボトと名乗るアカウントが直接僕に対してメセージを送てきた。
「これまで秋藤さんに多数のアカウントから155の告白が寄せられましたが、そのうちの一つだけは本物の告白です」
 そのメセージを境に告白ボトと思われる迷惑なイタズラはなくなた。
 僕はたたひとつの本物の告白のために怯えながら毎日を過ごしている。
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