短歌小説コンペ2.0
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ハリーは名警部
投稿時刻 : 2015.05.10 23:13 最終更新 : 2015.05.10 23:27
字数 : 383
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- 2015/05/10 23:27:29
- 2015/05/10 23:16:30
- 2015/05/10 23:13:05
ハリーは名警部
ドーナツ


月の国 狐のハリー 名警部 どんな事件も 俺に任せろ
春の宵 うさぎの国は 銀の柱へ 吊られた死体 みな大騒ぎ
柱の先 U字に捻じれて 外套の 襟を引き裂き 死体が落ちる
物見遊山 悲鳴を上げて 後ろへと 慌てて逃げる 老若男女
ただ一人 うさぎの婦人 歩み出る 唇震え 顔は真
あなたなの ああとため息 涙雨 私をおいて あまりにひどい
戻りきた 見物人の 列から一人 婦人の肩に 掌のせる
白衣きた 若い男の 狼だ 彼は死人の 主治医だと言う
捕まえろ 呼びかけハリー 指さした 部下がたちまち 覆いかぶさる
下敷きの 狼あばれ 抗議する こんな非道を なぜにするのか
ご婦人と ふたたびハリー 呼びかけた どうぞもそと 恋人の傍
口元の アーモンドの香 毒殺です そうとなたら 犯人は医者
見物人は 拍手喝采 捕縛の徒 狼ははや 虜囚の身
素晴らしい でもどうやて 突き止めた ハリーは披露 種を明かした
よくごらん 黒く曇て 柱の銀 毒物しめす 動かぬ証拠
みな安堵 賞賛の雨 降りそそぐ 月の平和は 俺に任せろ
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