穴
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自分空洞説
投稿時刻 : 2018.12.07 11:57
字数 : 1442
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自分空洞説
ポキール尻ピッタン


記録1
 知っているかい? 地球の中は空洞になっているんだ。普通の人には見えないけれど、北極と南極には大きな穴が開いている。僕らが住んでいる地表の裏側には、マントルやコアなんてない。僕たちの国と同じように、人々が住む街が広がっている。彼らは僕たちがUFOと呼ぶ乗り物に乗って、両極の穴を通って密かに遊びに来ているんだ。シャングリラって言うユートピアを聞いたことがあるだろう? 崑崙山脈の果てにあると伝えられているが間違いだ。本当は地底にある彼らが住む世界のことなんだ。
 信じられないのは分かるよ。僕もこの間まで半信半疑だった。SFやファンタジーの類の話だと思っていた。でも、違った。記録が残っていたんだ。アメリカのリチャード・バードという軍人が、実際に地底世界を目撃していたんだ。

記録2
 これでは、まるで僕が地球そのものではないか! なんでいままで気づかなかったんだ。ずっと他人事のように聞いていた。地球なんて、宇宙なんて自分の暮らしとは一切関係がないものなんだって。目が覚めた。地球とは僕、宇宙とは僕なんだ。

兆候
 鼻毛が伸びてくると、呼吸の際に毛先が鼻腔をくすぐる。パナソニックの鼻毛カッターを、煙草を一服する感覚で差し込めば、なんの憂いもなく仕事に励めるってものだ。でもその日は違った。鼻毛が揺れている感じがするのに、ちっとも鼻腔が痒くならない。たまに長く育った鼻毛がカールして皮膚を刺激しない場合もあったから、僕はてっきりそれだと思った。鏡の前で鼻孔を指でめくって顔を近づける。光が当たる角度を探し、首を傾げると、いままで見たことがない光景が広がっていた。
 髭で顔を覆われた大人の男が2人いた。貫頭衣みたいな簡素な服装で片手に鎌のような金属を持っていた。1人の男が鼻毛を支えるように両腕で押さえ、もう1人の男が根元に鎌を添える。右腕を大きく振りかぶると勢いよくその手を振り、鼻毛を1本切り落とした。よほど嬉しかったのだろう。男たちは笑顔でハイタッチをし、鼻歌を唄いながら籠のようなものに鼻毛を丸めて詰めていた。ふと男たちと目が合った。彼らは急に笑顔を強張らさせて、聞いたことがない言葉をざわめかせながら奥へと駆け出し消えていった。僕はなにを目撃したのだろうか? もう一度目を凝らして鼻孔を覗いてみた。なんだろう、動物のような模様が見える。分かった。あれは彼らが描いた壁画だ。

初診
 そういえば昔、本で読んだことがある。確か地球空洞説というタイトルだったと思う。地球の中は空洞になっていて地底人が住んでいるという荒唐無稽な話だ。彼らは両極の穴から現れる。いまの僕のように、左右の鼻孔から現れる!
 僕の体の中には彼らの世界が広がっている。これはおかしなことなのか? 本の記述の通りなら、別段変わったことではない。理想郷が中にある。これは素晴らしいことではないのか? 僕も、それこそ先生にだって、理想に近づける可能性があるって話だろ? 人間は素晴らしい。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。人間バンザイ。
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