てきすとぽい
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第28回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
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弾劾
(
茶屋
)
投稿時刻 : 2015.08.15 23:14
字数 : 1000
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弾劾
茶屋
「犯人はお前だ。」
突如として投げかけられる決め台詞。
ハ
ッ
として振り返
っ
てみれば、探偵然としている男が私に向か
っ
て指を指している。
え? 俺?
犯人?
何の?
見渡せば周囲に幾人か並んでいる。若い令嬢風の女、恰幅の良いいかにも悪そうな人相の男、若い青年。
それらの視線が、俺を突き刺すようだ。
どうやらここは洋館の広間のようでもある。
よくわからない。
この人達は一体何者なのか、一体どうして集ま
っ
て俺を犯人だなどというのだろうか。
「第一の殺人は、あー
だこー
だごに
ょ
がに
ょ
うんじ
ゃ
らほんじ
ゃ
かして、密室に仕立て上げ、アリバイを作り殺したのです。そうでし
ょ
う?」
そう俺の方を促すように見つめるのだが、俺は何のことやらさ
っ
ぱりわからない。
「ち
ょ
っ
と待
っ
てください、い
っ
たいなんのことやら」
俺がそう言
っ
ても、探偵は顔をしかめるばかりである。
「では次の殺人です。これはほんに
ゃ
らこに
ゃ
くなむさんぽうぼさつな方法で、殺人を行
っ
たわけです。まるで、自殺に見せかけるように」
相変わらず探偵の言
っ
ていることはわけがわからないのだが、周りの人間はいかにもなるほど、恐ろしい事実だと言わんばかり表情を浮かべている。
俺はそもそも殺人という事実を知らぬ。
何故ここにいるのかというもの判然としない。
だが、お前が犯人だと問い詰められるととてつもなく不安を感じる。
不安が不安を呼び、立ちくらみがしてくる。
「そして第三の殺人は
……
」
探偵が流暢に語りだした時、私の意識は暗転する。
再び意識が冷めた時、薄ら寒いものを感じた。
悪い夢を見ていた、というわけではなさそうだ。
相変わらず目の前に探偵はいるし、他の面々も揃
っ
ている。ただ一人、恰幅の良い中年の男の姿は見えない。
「もう止めるんだ」
探偵は諭すように言う。
やはり、わからない。
更にわからないのは、今いるのが洋館ではなく、海風の吹き荒む、断崖の上ということだ。
切
っ
先に俺は立
っ
ていて、追い詰めるかのように探偵その他がいるという構図である。
彼らはじりじりとにじり寄
っ
てくる。
「もう、終わりだ。お前の復讐は終わりなんだ」
復讐?
何のことやらわからない。
だが、俺の頭のなかは恐怖でい
っ
ぱいだ。犯人と名指しされ、追い詰められているのだ。
探偵が一歩踏み出した時、俺も後ずさる。
だが、そこには足場はなか
っ
た。
体が傾き、天を仰ぐ。
ああ、死ぬ。
犯人なのだから、仕方がないな。
突き刺さる視線に貫かれながら、俺は荒波の中に消えた。
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