てきすとぽい
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第28回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
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間に合え!
(
コユキ キミ
)
投稿時刻 : 2015.08.16 08:10
最終更新 : 2015.08.16 08:11
字数 : 1008
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2015/08/16 08:11:32
-
2015/08/16 08:10:18
間に合え!
コユキ キミ
「こんな形のものは今まで見たことがない!」
雪国の声が、奇妙なほどにはずんでいた。
振り返
っ
た雪国は、腰のS&Wすらそのままだ。
俺は構わずサブマシンガンをぶ
っ
放した。虚は見事に粉砕された。俺の腰にもS&Wが下が
っ
ているが、そんなもんじ
ゃ
今日は太刀打ちできそうにもない。
通常の虚は2センチほどのヒ
ョ
ロヒ
ョ
ロした物体で、1時間に5体ほど地表にふる。それを確実に撃ち落とすのが俺たちの役目だ。地表に潜るとそこから虚は、土を食い尽くし、増殖する。そうなるとその土地は焼き尽くすしかない。
本日18時に虚が降るという予報官の予想は場所もドンピシ
ャ
だ
っ
たが、ここまで大粒とは聞いてない。こんな矢印の形なんて記録にないのじ
ゃ
ないのか? しかもでかい。
「まだまだ、ふ
っ
てくる漆原!」
雪国はそう言いながら、俺に向か
っ
て、手をのばした。俺は、腰のS&Wを雪国に投げた。雪国は二丁の拳銃をま
っ
すぐに前に突き出し、正確にねらう。
「漆原、手をだすなよ!」
また病気がはじま
っ
た。俺は見物に回る。
雪国は、一発を矢印の先端に打ち込む。落下のスピー
ドは少し落ちたが、虚は不格好になりながらも、まだ落ちていく。また一発。今度は矢印のお尻の部分に。落ち続けていく虚に。さらに三発。中央部分に、等間隔に虚に叩き込む。
虚は四散した。
「5発打ち込めば、なんとかなるな。1個くらい捕獲できないか?」
俺はが
っ
くりと首を落とす。なんとかならないのか。この調査気質。俺は連続して降る三体にむか
っ
てぶ
っ
放す。
「あれさ。そもそも、虚か?」
雪国の拳銃が交互に火をふく。二丁拳銃になれば、狙いは甘くなるが、的は大きい。どこかにあたる。
「何を言い出すんだ。雪国」
「そもそも虚じ
ゃ
なければ、攻撃する必要はない。弾もいらない。調べたい」
この男のこの性格はなんとかならないのか。
「地面に入り込めば、卵産むんだぞ。俺たちの村は
……
」
「分か
っ
てる。地面に一匹たりとものめりこませるものか」
弾がきれた。マガジンを交換するすきに一瞬注意がそれた。
虚への警戒じ
ゃ
ない。雪国に対してだ。
気がつけば、奴はヘルメ
ッ
トと防弾チ
ョ
ッ
キを脱ぎ捨て、飛び出していた。
拳銃すら俺に押し付け、俺から離れようとしている。
「待て!」
のばした手は空をき
っ
た。
「俺に降れ!」
雪国は空を見上げ、虚にむか
っ
て叫んだ。
[※ここに挿絵]
すべての虚が雪国にむか
っ
て、のめりこむかのように見えた。間に合え! 俺のサブマシンガン!H&K MP5!
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