第34回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
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とぶ
酔歌
投稿時刻 : 2016.08.20 17:42 最終更新 : 2016.08.21 03:38
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更新履歴
- 2016/08/21 03:38:12
- 2016/08/21 03:37:30
- 2016/08/20 17:42:04
とぶ
酔歌


 水中を高速で泳ぐことができる僕は、ペンギン。

 鳥の仲間である僕らは、飛ぶことができない。前、お父さんにこうやて聞いてみたことがある。

 「なんで僕らは飛べないの?」

 お父さんは何も答えてくれなかた。


 ある日散歩をしていると、フワフワした白い玉に出会た。

 手でちんちてつついてみると、勢いよくそれは立ち上がた。

 あの子たちは「ウサギ」だた。ぴんぴんと跳ねて遠くへ逃げて行た。

 その日から、僕は「ウサギ」になりたいと思た。

 飛ぶことができない僕は、せめてあの子たちのように跳ねて「飛びたい」と思た。

 何度も跳ねて飛ぶ練習をしたけれど、ほんの少ししか飛ぶことはできなかた。


 いつもみたいに飛ぶ練習を繰り返して、疲れ果てて眠ていた。

 すると、夢の中に神様が出てきた。

 神様は「飛びたいか」と聞いてきた。僕は素直に「うん」ていた。

 いきなりの事だたから混乱したけど、これで飛ぶことができると思うワクワクの方が強かた。


 夢から覚めた。僕は「ウサギ」になた。

 初めは実感がなかたけれど、ぴんぴんと跳ねると、とても高くまで飛ぶことができた。

 自分の夢が叶う。そう思ただけで死んでしまいそうだた。

 しばらく周りをぴんぴん跳ねていたら、石でできた建物を見つけた。

 僕は乗ることのできる足場を頼りに、その建物を上ることにした。

 無造作に並べられた大石に乗て、次の石に飛び乗た。

 少しずつ地面が無くなて、次第に足場が空中にあることに気が付いた。

 また一段一段昇て行くごとに連れて、緊張感と恐怖が僕を襲た。それと同時に興奮した。


 しばらく上ると、これ以上昇れない場所にたどり着いた。

 ペンギンだた僕には絶対に来ることができなかた場所。感動だけが心を支配した。


 降りるのが面倒だたから、近くの海に潜ることにした。ぴんと飛び降りて、空中を切て落ちた。

 後ろを見ると、今まで登てきた石達が綺麗に連なていた。これが鳥が見ている景色。僕は幸せだた。

 僕らは鳥だ。だから鳥にはならなかたけど、「ウサギ」になたことで鳥と同じ景色を見ることができた。

 「ウサギ」になることで夢を叶えることができた。

 あの夢に出てきた神様が誰なのかわからないけど、僕は感謝の心でいぱいだ。

 本当にありがとう。


 そうして海に潜た僕は死んだ。

 そして僕はやと理解した。

 「ウサギ」にできなくて「ペンギン」にできること。

 それは海を飛ぶこと。
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