てきすとぽい
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第36回 てきすとぽい杯〈紅白小説合戦・白〉
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めいろのくに
(
゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.
)
投稿時刻 : 2016.12.10 23:44
字数 : 764
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めいろのくに
゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.
小学生の頃、秋の遠足で遊園地に行
っ
た。
鏡の迷路屋敷の中で、迷子にな
っ
たときのことをよく覚えている。班の子と一緒に行動しなさいと先生は言
っ
たけど、私の班の子たちは、私以外みんな仲良しで、私のことを置いて行
っ
てしま
っ
て、私は一人で、私の姿が四方八方に映し出された気味の悪い空間で迷い続けた。どこに行けばいいのかわからなくて、だんだん怖くな
っ
てきて、声も出せなくて一体どれぐらいの時間が経
っ
たのかもわからなか
っ
た。
結局家に帰れたのだから、誰かが助けてくれたのだと思うけど、よく覚えていない。
ただ、私はその場にし
ゃ
がみこんで、し
ゃ
がみこんでミラー
を見上げると自分の姿が大きく見えて不気味で、思わず目を硬く瞑
っ
て、耳を塞いで、気が遠くな
っ
ていた、あの恐ろしい記憶だけが、いつまでも強く残
っ
た。
中学生にな
っ
た今でも、ふいにあの時の記憶が脳裏をよぎ
っ
て、泣いてしまうことがある。
そうすると、ママがとても不機嫌になる。そんなに昔のことをいつまでも引きず
っ
て、あなたは本当に、呆れた子ね。
なじられると、余計に悲しくなるけど、私は泣くのを我慢しようとする。
自分がどこにいて、今がいつなのか、よくわからなくな
っ
て、ただただ怖い。
私は自分がここにいるという確信が持ちたくて、ペンを握る。
自分の気持ちを書きつける。そうすると、ますます悲しい気持ちが湧いてくる。どうしてこんな昔のことを思い出してしまうんだろう。あんなに時間が経
っ
たのに。
でも、胸を突きさす痛みだけは本当なのだ。
カウンセラー
の先生にそう話したら、それでいいのよ、と言
っ
てくれた。
自分の痛みと向き合うのには、時間がかかるのよ。どれだけ歳をと
っ
ても、昔の悲しい出来事を思い出すのは、ち
っ
ともおかしなことじ
ゃ
ないわ。
その言葉は救いだ
っ
た。
だから先生が褒めてくれた物語を、私はゆ
っ
くりと紡いでいる。
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