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男子どもが騒いでいると、丸時計が八時を指して鳴る。それと同時に教師も入ってきて、男は着席を余儀なくされた。
教師が教壇に書類等を置くと、早速例の話題について触れた。
「もう聞いている奴もいると思うけれど、今日転校生が来ます」
クラスがざわつく。もちろんその中の一割が女子九割が男子だ。
「先生ッ! その子は……女の子ですよね!?」
「そだよー」
「よっしゃあああ!」
男子は興奮と歓声が混ざり合って、もう収拾は着かなさそうだ。
「んじゃー、もう会ってもらうのが早いから、どうぞ」
シューズの音に、ちょっとずつフェードがかかる。いよいよその音が消えたとき、目の前にいたのはどこか見覚えのある女の子だった。
「始めまして。転校してきました、よろしくお願いします」
さらっさらの髪の毛、いい感じのボディライン、そして可愛い。男子にとってはこれ以上ないほどの完成度。
だけれど、やっぱりどこかで……
「あ」
すると女の子は、僕ににこっと笑い小さく手を振った。やっぱり何処かで会った……も、し、や。
瞬時に記憶が脳内に流れ込んでくる。
ああそうだ。
幼い頃、僕が、その、前住んでた所の、近所の、僕が、好きだった、好きだった、好きだった。
好きだった!?
あーどうしよう。もう男子共に顔向けできない。いや、それ以前に、クラスにいる彼女に顔向けできない。朝キスもしたのに。
だけど、目の前の幼馴染に動機が収まらない。どうしよう。
朝の夢の内容と、時計の音が頭の中に鳴る。
ピッ、ピッ、ピッ。
鳴る時計と僕の彼女と、僕の眼前に映る彼女が互い違いに映し出され、僕の脳はゲシュタルト崩壊した。
若干のワクワクで。なんか恋愛バトル起きそうじゃん! 男共悪い、俺は一足先に恋を楽しむよ!
アデュー!
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