第43回 てきすとぽい杯〈てきすとぽい始動6周年記念〉
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おれの冒険ふたたび
投稿時刻 : 2018.02.17 23:06
字数 : 899
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おれの冒険ふたたび
ひやとい


 
 おれは猛烈に女が欲しかた。
 切望と言てもいいくらいだた。
 しかし母親と学校以外で、女と話したことがない。
 職場も男ばかりの工場勤務だ。
 女に対して臆病で、そういたつきあいなどしたことがなかた。
 声をかけるなど、とんでもないことだ。
 そうしたわけで出会い系掲示板やマチングサイトを見ては見るものの、一歩前に踏み出す勇気がなかた。
 どうしたらいいんだどうしたら……
 気がつくともうアラサーになていた。

 そんなある日、気晴らしに街へ出てみた。
 普段静かな町に住んでいるので、人の多さに圧倒される。
 巨大なところてんが押し出されているような人波。
 いつも家にいるのがいい加減いやになり出てきてしまたが、とても気晴らしどころじない。
 どうして街なんか来てしまたんだろうと後悔しはじめていた。
 映画も見ずゲームもパチンコもしないおれは、とりあえず自販機でコーヒーを買い、駅からほど近い公園のベンチに座た。
 園内は年寄りもちらほらといたが、若いやつらがほとんどだた。
 当然カプルもちらほらいる。
 猛烈にうらやましかた。
 くそーそー
 なぜおれには女がいないんだ!
 ますます街に来たのを後悔した。
 とりあえず喫煙所じないのを承知でタバコに火をつけ、吐き出すとため息混じりの声を小さく出す。
 すると、一人の女がこちらにやてきた。
 見るからに丸い小太りの、あまり小奇麗じない感じの女だた。
 年は三十過ぎくらいか、あきらかに顔つきもメンヘラのそれだた。
 少しビビていると、女が隣に座てきた。 ヤバイ、逃げよう。
 怖くなり立ち上がろうとした。
 すると声がした。
「ねえ、援助て出来る?」
 おれは久々に聞いた感のあるその言葉に、
「は?」
つい声を出してしまた。
 すると女は立ち上がり、ぷいとよその方に顔を向けるとスタスタと立ち去ていた。
 やばいこのままここにいたらやばい。
 おれは思わず駅へ足を向け、そして走た。
       
 電車の中でぐぐると、その街で有名な立ちんぼだた。
 ホストに貢ぐために身体を売る、風俗では雇てもらえないような典型的な女だた。
 おれにはそんな女しかやてこないのか!
 女がほしいと切望したおれは、電車の中で一人絶望した。

 
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