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第44回 てきすとぽい杯
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彼女の本音
 投稿時刻 : 2018.04.14 23:35
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彼女の本音
三和すい


「お前たち、まだ結婚しないのか?」
 友達からそう言われたのは何度目だろう。
 彼女と付き合い始めて五年。趣味は違うが価値観は似ているし、ケンカもするけど数日後には仲直りしているし、そこそこうまくやてきていると思う。
 それなのに、結婚まで話が進まない。
「こんな家に住みたいね」とか、テレビとかを見ながら「あのウングドレス、素敵ね」という話はするけれど、具体的にどうするかという話は少しも出てこない。
(男の俺の方から話を進めるべきなのか?)
 そう思て両親にあいさつに行きたいと言て約束しても、「ごめんなさい。急に予定が入て」とか「お母さんが風邪気味なの」といつも直前に都合が悪くなる。
 ひとして他に好きな奴でもいるのかと疑たが、そんな気配もない。
(単に結婚したくないだけなのだろうか?)
 名字を変えたくないとか、親戚付き合いが面倒だとか、仕事の都合とか、子供が生まれた後の生活スタイルの変化とか、今の社会では結婚には様々な問題がつきまとう。それを嫌がり、同棲するだけで籍を入れないカプルがいるのは俺も知ていた。
 彼女は仕事が好きでバリバリ働いているので、家で主婦をするタイプではない。きと結婚後も仕事を続けたいだろう。俺も家事や育児をする気はあるけれど、実際にその時の仕事の状況でどこまでできるかはわからない。
 その辺りを不安に思ているのだろうかと思えば、結婚式の話や将来住む家の話を彼女から振てきたりする。
 俺と結婚したいのか。それとも、結婚したくないのか。
 彼女の本心がなかなか見えてこない。
 俺はいたいどうすればいいのかと悩み始めた頃、「大切な話があるの」と彼女に呼び出された。
 夜景がきれいなレストランで、彼女はこう切り出した。
「実は私ね、動物が好きなの。小さい頃から猫とか犬とか色々な動物を飼て、いぱいお世話をしてきたの。それでね、最近どうしても買いたい動物がいて、お金を貯めて飼う準備をしていたんだ。最近ようやくお金が貯またから、その動物を飼てみたいんだけれど……いいかな?」
 不安げな目をする彼女を前に、俺は正直ホとしていた。最近の彼女は仕事を頑張ていたので、正直なところ俺と結婚せずに、仕事に生きるつもりなのかと思ていたところだた。
「最近仕事を頑張ていたのは、そのためだたのか。それで、いくら貯めたんだ?」
「三億円」
「は?」
 俺は耳を疑た。サラリーマンの生涯賃金と言われている金額じないか。
「いたい何を飼うつもりなんだ?」
 犬や猫じないだろう。珍しい品種でもそこまでいかない。もしかして、ペンギンとかシロクマとか一般家庭じ飼えない動物なのか?
 彼女はニコリと微笑んで言た。
「それはね、ア・ナ・タ」

 こうして俺は彼女のヒモになた。
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