てきすとぽい
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バターロールパン
(
ゆきな|根木珠
)
投稿時刻 : 2019.05.18 13:43
字数 : 598
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バターロールパン
ゆきな|根木珠
木登りをしていると、枝で這う毛虫をみつけた。
僕はそれを右手でつまみ、放り投げた。
落下してゆく毛虫を、僕は見ていた。
僕は夕方になると家に帰
っ
た。
家では母が、酒を飲んですでに酔
っ
ていた。
お腹がすいた僕は何か食べ物はないかと部屋中を探した。半分にちぎ
っ
たパンが、テー
ブルの上に置いてあ
っ
た。かさかさに乾いてかたくな
っ
たパンに、僕はかじりついた。味などないし、噛み切れないほどかたいが、食べ物があるだけマシだ
っ
た。
その間、母は、僕には目もくれず、ひたすら酒をあお
っ
ていた。
翌朝、街へ出かけてい
っ
た。
パン屋を見つけ、店に入
っ
た。
バター
ロー
ルやクロワ
ッ
サン、バゲ
ッ
トなど、様々なパンが並んでいた。
さ
っ
と店内に目を走らせた。
それからバター
ロー
ルをひとつポケ
ッ
トに突
っ
込み、そして何気ないふうを装
っ
てそのまま店をでた。
バター
ロー
ルにかじりつく。バター
のかおりが口い
っ
ぱいにひろが
っ
た。これはいける。次もまた、このパンにしよう。
家に帰ると、暗い部屋の中で、何かがぶら下が
っ
ていた。
母が何かを吊るしたのだろうか。
そんなところに、い
っ
たい何を?
近づいて、よく見ると、それは母だ
っ
た。
母が、部屋の中で首を吊
っ
ているのだ。
母の顔は見る影もなく紫色にな
っ
ている。首は伸び、舌は口をふさぐほど出ており、床は糞尿で汚れていた。
僕は腹をさす
っ
た。
そこには、むかし母に包丁で切りつけられたときの傷があ
っ
た。
そして僕は、快哉を叫んだ。
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