第52回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
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インタビューウィズ……
投稿時刻 : 2019.08.18 00:41 最終更新 : 2019.08.18 08:13
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- 2019/08/18 08:13:13
- 2019/08/18 08:00:47
- 2019/08/18 04:55:02
- 2019/08/18 00:41:26
インタビューウィズ……
合高なな央


 カランコロンと軽快にベルの音を響かせて店内に入てみると、奥のテーブル席で待ち合わせした雑誌編集者と思しき初対面の男性が手招きをする。

――いやあ、今年も結局猛暑でしたね

 レトロな味わいのある純喫茶の座席につくと、男は和ませようと意図したのか世間話を振てくる。

「そうね。年々自然環境も厳しくなてるわね」

――なるほど。では早速インタビを始めさせてもらて構わないですか?

「ええ、もちろん。でも緊張するものね」

――いやいや。リラクスしてください。あ、何でも注文してくださいね。経費で落ちますから

「それじ、レイコーと抹茶ミルクのかき氷で」
 と、近づいてきたウイトレスに注文した。

――いいんですか? 透き通る雪のような肌がなんだかコーヒー色に染まいそうで心配ですが

「うふふ、お上手ね。いいのよ、外見は白くても腹の中は真黒なんだから」

――ははは。では、今回の趣旨から。我が雑誌における夏恒例の怪談企画の一環として、妖怪の現代の素顔を知るというインタビを企画しまして、それで雪女さんにお願いしたわけです

「ほんと人間て変わたこと考えるのね。まあ夏は本業も暇だし、別にいいけどね」

――ではまず、最近人間を驚かせたことはありますか?

「そうね。メキシコに旅行に行たときに大量の雹を降らせてネト動画にあげられていたわね」

――ああ、あれ雪女さんの仕業だたんですか。ひどいなあ

「なんかストレス溜まてたのよね。副業でヘマやて」

――副業?

「私、アイスクリーム工場に住み込みで働いてるの。あそこて大きな冷凍倉庫があるじない。居心地いいのよ。魚の加工工場も試してみたんだけど、体が生臭くなてやめちたわ」

――そうなんですね。それは意外な素顔でした。

(中略)

――最後の質問です。妖怪は人間が認識するから妖怪であて、人間が忘れてしまたら妖怪でいられなくなるという考え方をどう思いますか。

「うふふ。そうねえ。それは地球温暖化と一緒じないかしら。北極の氷がすべて溶けてしまても、水になり水蒸気になり、そして雨になり雪になる。私たち妖怪も同じこと、自然に寄り添て変化していくだけよ。人間には消えてしまたように見えてもね」

――ふむ。懐かしい日本の夏は、もう戻てこないんでしうかねえ?

「雪女の私に訊く質問じないみたいね」

――そうでした(笑。本日は暑い中、本当にありがとうございました。
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