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「先輩、ターゲットが狙撃ポイントに向かっています。狙撃ポイントに立ったら、即、トリガーを引いてください」
「OK」
ターゲットは来た。
先輩はトリガーを引いた。
当然のことながら、ヘッドショットを狙っていた。
だが、顔の前を抜けた。
狙撃直前に入り、気象状況も調べられなかったから、当然だ。
長距離になればなるほど、気象状況の影響を受ける。
この日は空気が湿っていた。
すわ、階段から足音が聞こえてくる。
本来はワンショットで決められれば逃げられる状況の想定だった。
先輩は落ち着いた声で。
「もう、ワンショット狙う。背中を任せたぞ」
先輩は弾丸を装填しなおして、狙撃体制に入った。
刹那。
屋上の入り口に人民解放軍の舞台が五、六人入ってきた。
私は、階段から自分のアサルトライフルで対抗した。
ただ、狙撃も兼用しているアサルトライフルなので、すぐに弾は切れた。
もう、マガジンを交換している時間はない、すぐにアサルトライフルを捨て、拳銃を腰を引き出し、狙いを定めた。
しかし、人民解放軍も精鋭だ。
二人、仕留め損ねた。
一人とは格闘戦になった。
もう一人は先輩に向かう。
先輩、気づいて。
逃げて!
だが、先輩は狙撃に集中していて気づかない。
兵がアサルトライフを撃とうとするより早く、先輩はトリガーを引いた。
そして、私は「先輩!背中!」と叫んだ。
先輩は狙撃銃から手を離して、すぐに狙撃ポジションから離れた。
先輩は、ナイフを出し、兵へ向かっていき、胸を刺した。
一瞬だった。
そこで、私と格闘戦をしていた兵もひるみ、隙が生まれ、私も拳銃を撃った。
そして、私たちは屋上から逃走した。