第58回 てきすとぽい杯〈夏の特別編・後編〉
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これは愛かもしれないしそうじゃないかもしれないなにかわからないけど抗えないきもち。~それもこれも愛かもしれなかった
投稿時刻 : 2020.08.14 11:22 最終更新 : 2020.08.24 16:40
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- 2020/08/24 16:40:15
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これは愛かもしれないしそうじゃないかもしれないなにかわからないけど抗えないきもち。~それもこれも愛かもしれなかった
すずはら なずな


「で、どうしたよ、その後」
タカキが聞く。唯一 彼女との経過を全部話している友達だ。

「何もせず、タクシーで送た?」
「いや…」
「めでたくやり遂げた?」
「いや…」
「んな訳ねな。号泣する女の上で腕立て伏せポーズだもんな」
タカキはくわくわと笑い 俺の顔を覗き込む。
「それで 萎えなかたら変態だよな」
変態じなく犯罪だ。「犯罪」なんて立派な名前ももたいない…ただのクソヤローだ。

「手…」
「え?」
「手つないで眠た。朝まで」
「へえ?」
「泣き疲れて眠りかけたから、そと離れようとしたらさ」
「うん」
「手、出してさ。ずと握てて、お願い、て」
眠れるわけなかた。片手を拘束されて寝返りも打てず、かすかに彼女の寝息が聞こえる中 ただただじとしていた。今日は身体が痛い。

「そんな女はさ、最悪 結婚してくれとか言うよ」
どういうこと?それて 最悪?
「元カレの子供ができたから、あなた父親になて、とかさ」
そうか、そんな事態になたら、俺、どうするだろう。
そう思うと同時に、彼女と結婚した俺、彼女の子供と3人で過ごす「幸せな家族」の映像が目に浮かぶ。
とことん俺はバカだ。

「今、幸せなフミリーの想像したろ」
「いや、ま…」
「ダメだこり。一生その女、グダグダするぞ。元カレが忘れられないと泣き、新しい出会いがあたと泣き、やぱり貴方じダメなの ごめんなさいとか言いながら……
コイツは小説家志望だ。こうなたらもう想像は止まらない。
「言いながら…?」
「お前の手だけは絶対離さない」
──ああ、残念な俺。残念な俺。


「まあ、オレもそんなお前をずと見続けるんだろうけどさ、愛を持て」
タカキの見つめて来る目に何だか別の「愛」が含まれているような気がしないでもなかたが、
「有難う、お前ていいヤツだよな」
不覚にも涙がぽろと零れた。

「そうかな。オレはお前がオレの腕の中で号泣したら……
「?」
……襲う」
タカキはくるりと背中を向けながら そう言い、小さく「……かも な」と付け加えた。
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