てきすとぽい
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第65回 てきすとぽい杯
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寝坊は地球を救う
(
犬子蓮木
)
投稿時刻 : 2021.10.16 23:42
字数 : 782
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寝坊は地球を救う
犬子蓮木
寝坊した。
本当はも
っ
とはやく起きなければいけなか
っ
たのにもう太陽が高くのぼ
っ
てしま
っ
ている。どうしようかと思
っ
たけれど、覆水は盆に帰らず過ぎ去
っ
た時間は取り戻せない。もう一度寝てしまおうかとも思
っ
たけれど、さすがそれはどうかと思える程度の良心はあ
っ
たので起きあがり、一応、精一杯向か
っ
たんだよという風を装うことにした。どんなにがんば
っ
ても間に合わないし、たぶんあいつももう待
っ
ていないだろうけど、それでもまあ明日あ
っ
たときに「なんで待
っ
ててくれなか
っ
たんだ、ち
ょ
っ
と遅れて行
っ
たのに」ぐらいは言えるようにしておかないとな。
待ち合わせ場所に着いた。
やはりあいつはいなか
っ
た。た
っ
た数刻も待
っ
ていてくれないなら薄情なやつだ。かわりに知らない人がいた。どうも困
っ
ているらしいので助けることにした。
そうしていろいろあ
っ
て、僕はその人と結婚し、子供もできて、幸せに暮らした。
ず
っ
と未来へ。
遠い未来へ。
大きなテロが計画されていた。
もし実行されれば数人や数百人の犠牲では済まない。世界中で大勢の人が亡くなるようなものだ
っ
た。だが、さすがにそれだけの規模の計画だ
っ
たため、組織から情報が漏れ伝わり、対策の部隊が組まれた。
今日は突入の日。
青年はし
っ
かりと目を覚ました。同じ部屋で眠
っ
ていた友人を起こし、緊張を隠しながら軽口を叩く。
「おら、起きろ。寝坊したら、世界が滅ぶぞ」
「あと五分
……
」
友人はそう言いながらもさ
っ
と起きる。
二人はこのあと命がけの戦いをくぐり抜け、世界の悲劇を未然に防ぐことに成功する。
大変な戦いで味方に多数の犠牲を出すけれど、世界は救われるのだ。
「さあ行こうか」
二人は知らない。遠い先祖をたどると共通の人間が現れることを。
二人は知らない。その先祖が寝坊したから出会いがあ
っ
て、子が生まれ、子孫が繋がり、今、この二人が存在していること。
寝坊してなければあぶなか
っ
た。
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