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第11回 てきすとぽい杯〈お題合案〉
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寒い荒野と発掘と
 投稿時刻 : 2013.11.16 23:25
 字数 : 1665
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寒い荒野と発掘と
たこ(酢漬け)


 霜で凍た土を踏みしめながら、真中は煙草を吸ていた。ネクウマーを鼻が隠れるまでずり挙げていて、遠くから見る姿は少しテロリストの様だ。真中は煙草を吸いながら機械が地面を掘削していく様子を眺めている。こんな真冬に首長竜の化石の発掘をするなんて、少しおかしいかもしれないが、こんなことを生業にしている真中にとては仕方がない。
 今では、化石の発掘なんてものはとんと廃れてしまた。それでも真中はたとえ一人であても地面を掘り続ける。子供のころのロマンを忘れられないのか。
真冬の発掘作業は孤独で体力のいる作業だたが、真中はそんな真冬のピンと張りつめた空気が好きだた。
 一人で煙草でもふかしながら採掘機械を動かしたり、刷毛で掘り出した石の砂を払うのは本当に探検家の様で、真中の子ども心を動かした。
「なかなか出ないですね」
 真中が機械を眺めていると、助手の植草が話かけた。
「あ、根気のいる作業だ」
「寒いですね」
「そうだな。コーヒーでも入れてきてくれないか」
 真中がそういうと、植草は律儀に返事をして、停めてあるジープの後部ドアを開け、用意された機材でコーヒーを作り出した。
 我ながら、優秀な部下を見つけたな。真中はそんな風に思て遠くの景色を見つめた。
 先ほど植草にも言われたのだが、なかなか化石なんてものは発掘されない。地層の重なりは明らかに古く、古代このあたり一帯は海ではなかたのかということが推理される。
 それならば魚の化石、あわよくば首長竜の化石などが発掘されても良いようなものなのだが、なかなか発掘されない。
 気の遠くなる作業だ。
 今度はノミと金槌を手に取り、真中は土を削りだした。いそのことダイナマイトで爆破したいような気もしたが、真中は火薬の扱いに慣れていなかた。
「コーヒー入りましたよー
 植草がステンレスのマグカプを二つ持てこちらに歩いてきた。
「あ、ありがとう」
 まだ作業に取り掛かたばかりであたが、いたんその手を休め、休憩をすることにした。
「あ、そういえば、ジープに林檎が乗ていたかもしれないな。すまないがとてきてくれないか」
「はいー
 (もー人使いが荒いんだから)
「ん?なんか言たか?」
「いえ、なんでもないですー
「すまないな」
「いいですよー
 そう言て植草は再びジープの方へ行き、パクに入た林檎を持てきた。
 爪楊枝を二本取り出し、植草と二人で食べた。少し冷たかたが、水分と糖分を吸収できるし、何より林檎はおいしかた。
「あれ、機械止まてません?」
「あ、そうだな」
 近くへ行て見てみると、確かに機械は停まていた。地中に杭を打ち、杭の振動で土や砂と化石を剥離させるという、真中お手製の発掘機械であたが、いまいち役に立ていなかた。
「うむ、燃料切れかな。とりあえずこの辺もう少し掘てみるか」
「そうですね
 そういて二人はそのあたり一帯を掘り始めた。最初はシベルを使ていたが、次第にノミや刷毛を使て、慎重に・・・。
 寒さで手がかじかみそうになるが、そんなことは気にしていられなかた。少し掘り出すと、層状になた石が出てきたが、それが具体的に何の化石であるかはその場では判別できなかた。
 見ると、魚の骨のような模様をしているのだが・・・・。
「なんか出ましたね」
「出たな」
 予想よりもいささか小さい成果に、二人はあまり驚くことができなかた。
「これ、なんですかね」
「おそらく魚じないかと・・・」
「ま、見るからに」
「つまり・・?」
「つまり・・・」
 真中と植草は顔を合わせた。何しろ真中の仮説が当たていたからだ。
「ここは昔海だた可能性が高いな」
「ま、そうですね」
「そうだな」
 植草はあまり喜んでいいのかどうなのか分からなかた。誰かがここに魚を捨てた可能性も無きにしも有らず。
 
発掘成果:魚の化石

 いささか出来すぎた話かもしれないが真中は内心喜んでいた。昔からへぽこと呼ばれていた真中であるが、自分の仮説に有利な証拠が出てきたのだから。
 それでも、首長竜には程遠い。がんばれ真中。へぽこ真中。
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