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第12回 てきすとぽい杯〈紅白小説合戦・白〉
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雪が降ると彼女のことを思い出す。
 投稿時刻 : 2013.12.14 23:41
 字数 : 809
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雪が降ると彼女のことを思い出す。
司令@一字でも前へ


ある冬の晩、私は親に頼まれて牛乳を買いに出かけた。
昨日から降ていた雪のおかげで、道路は一面の雪畳に覆われていた。この地方には珍しい大雪だ。
帰り道、牛乳が入たビニール袋を提げた私は、ふと、あるものを見つけた。
それは誰かが作たであろう雪だるまだた。
しかし、それは何故だか壊れてしまていた。
た人が出来栄えに満足せずに崩したのか、心無い通行人が蹴飛ばしたのか、雪だるまは見るも無残な姿になていた。
何だか可哀想になた私は、この雪だるまを直すことにした。
私はビニール袋を雪布団の上に置く。そして崩れた雪の欠片を掻き集めて固め、まだ綺麗な雪面にコロコロと転がして形を整えていた。

「よし、できた」

苦闘の末に、雪だるまは見事に復活した。
私は満足して再び帰路についた。
それにしても、冬の晩はかなり冷える。
雪は音を吸うというが、不気味なくらい静かだた。
いきはよいよい帰りは恐いとよく言たもので、私は急に心細くなた。

「ね、君」

そんなとき、後ろから声をかけられて、私は身をすくませた。
驚いて振り返ると、雪色のセーターを着た綺麗なおねえさんが立ていた。肌の色も透き通るような雪色だ。高校生くらいの背格好に思える

「怖いの? 一緒に歩いてあげようか?」

何故だか私は断る気になれなかた。
私は黙て頷いて、歩き出した。
おねえさんも歩調を合わせてついてくる。
何か話をするでもない。
けれど彼女と一緒にいると何故だか心が安らいだ。
それで油断していたのだろうか。
ふと、目の前で何かがキラリと光た。
それが車のヘドライトだと気づいた時には、もう遅く。
私は強い衝撃で弾き飛ばされていた。

そして、鈍い音。

おねえさんが車に轢き飛ばされた。
咄嗟に私を突き飛ばし、彼女は身代わりになたのだ。
私は一目散に彼女へと駆け寄た。
車の運転手も慌てて出てきて私に続く。
彼女の姿を見て、私たちは固また。

そこには崩れた雪だるまが一つ、あるだけだた。
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