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クリスマスイヴぼっち小説大賞&ぼっちついのべ
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my sweet devil
 投稿時刻 : 2013.12.25 00:07 最終更新 : 2013.12.25 00:09
 字数 : 3782
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更新履歴
- 2013.12.25 00:09:09
- 2013.12.25 00:07:40
my sweet devil
たこ(酢漬け)


 一人で歩いている。寒さで体が震える。当然一人でいれば、頭の中で考えが堂々巡りをしだす。愛てなんだろう?とか、友情てなんだろう?とか。
 たとえばあの明かりが点いている家の中では家族だんらんで食卓を囲んでいるかもしれない。あたたかいご飯は愛であろうか?
 もしかすると、あの居酒屋では大学生が集まて酒を飲んで自分たちの将来について話し合ているかもしれない。それは友情であろうか?
 家族でご飯を囲むのも、友人が集まて酒を飲むのも、それは一つの愛や、友情の形かもしれない。
 それはそれでいいのかもしれない。もしかするとあのマンシンの一室では恋人が愛を語り合ているかもしれない。
 あ、それがもともわかりやすい愛の形かもしれない。それでいいのかもしれない。
 冬の路地裏は寒い。外套の襟をぐと立てた。冷たい風が頬を切り裂くようだ。
 こんな夜中に真冬の住宅街の中を歩いていると、怪しまれるだろうか。いや、コートを着ているのだから、会社帰りのサラリーマンに見えなくもないだろう。
「私のために何かできる?」
 そんなことを言われた。そんなことを言われたから、私はこんなにも寒い中こんなことをしている。
 目的はある工場の倉庫。そこから目的の品を持てこいというのが私のsweetの指令。
なぜsweetかということを話すと少し長くなるし、私が一方的に思い込んでいる節もあるのでここでは割愛する。
 私はあの人のことを頭の中でmy sweetと呼んでいる。それだけ聞けば分かる人には分かるだろう。
 それにしても寒い。雪が降てくる前にささとこなしてしまおう。雪が降れば足跡がついてしまうから。
 目的の工場ももうすぐだ。あと十分も歩けばつくだろう。そんな風に考えながら私は歩みを進めた。
 公園にも誰も人はいない。こんな寒い夜だから皆家の中に引き籠ているのだろう。そうであて欲しかた。その方が私には好都合であることに違いはないし。
 猫の鳴き声が聞こえた気がしたが、猫の姿は見えない。気のせいだたのかもしれない。猫に見られるならまだいいのだろう。今のところ猫の言葉と人の言葉を疎通させるものは何もない。
 ほどなくして、暗闇の中に四角い建物の影が見え始めた。周囲の住宅に比べると、やはり屋根が一段高い位置に見える。街灯の明かりはあまり届いていなかた。
 幸運にもここに来るまでに誰にも会わなかたし、誰ともすれ違わなかた。そこの角を曲がれば、もう工場の敷地が目の前だ。My sweetのために何かできると思うと、私の心臓は高鳴た。
 工場は高いフンスに囲まれていた。フンスの上部には有刺鉄線が張られている。門の鍵もしまている。
 門の方は街灯で明るく照らされていたので私は工場の裏手へと回た。工場は既に営業終了時刻を過ぎていて、建物内部の明かりは消えているし、人の気配もしなかた。
 裏手の方へと回たがフンスの有刺鉄線はここにも張られていた。私はあまり気乗りがしなかたが、ポケトからペンチを取り出し、フンスへとよじ登た。
 あまり痕跡を残したくなかたので、ペンチで鉄線を切てしまうことは後回しにして、ペンチで有刺鉄線をつかみ、フンスとの隙間を広げてみることにした。
 そうすると、横になればなんとか人が通れるくらいの空間ができたので、私はフンスの上で腹這いになり、なんとかその下をくぐた。
 そうして、フンスから飛び降り、私は倉庫の敷地内へと侵入した。革製の手袋をしているので指紋が付く心配はないかもしれないが、やはりフンスに繊維が付着したかもしれないので、この一件が終われば、コートを処分しなければいけないなと私は考えた。
 急いで裏口へ回てドアノブに触てみる。やはり鍵がかかている。私はポケトから二本の針金を取り出した。ここへ来る前にmy sweetに渡されたものだ。
 一本の針金を鍵穴に差し込み、その後にもう一本を差し込み、鍵穴をひねた。案外簡単に鍵が開くものだな、と思いつつ、my sweetはなんでこんなものを持ているんだということに驚いた。
 そして案外セキリテの弱い建物だた。鉄骨造に金属スレートを葺いただけの建物だたのでそんなものなのかもしれないが。
 それでも、監視カメラには注意しなければならない。確か、正面の門の所にはあたと記憶している。そうであれば、建物の中にも監視カメラが設置されている可能性が高い。
 私はドアを開けるときに、天井の方へと注意を向けた。
 が、私の注意に反して、監視カメラは見当たらなかた。が、他の箇所にある可能性もある。
 私は注意して帽子を眼深に被りなおした。
「えと、確か、製品コードは、pqR-2070だたよな」
 私はsweetの言ていたことを注意深く思い出した。番号を確認しながら金属ラクの列の中を歩く。
 何列か確認し終わた後で、ついに目的のものを見つける。市販のUSBメモリだ
。その中の911923324568289という固有番号のついたものを見つける。
 こんなものを、と思たが、私は急いでそれをコートの内ポケトへとしまた。そうしてそそくさと倉庫内から外へと出る。
 入てきたときと同じようにして、有刺鉄線付きのフンスを越える。なるべく痕跡を残さないように。出るときにドアの鍵を閉めることができなかたのが痛手だが。
 数ある商品の中から一つを抜き取ただけだが、すべての商品の品番から個数までを管理している可能性が高い。
 早めにこれをsweetのもとへ届けないと。私はsweetの隠れ家へと急いだ。
 電車に乗ろうと、駅の方へと歩いていたが、なんだか背後に人の気配を感じるようになた。私は少し速足で歩いてみた。背後の人間も、少し足を速めたようだ。
 やはり、何者かにつけられて、尾行されているのか、私はそう思た。警察だろうか?いや、警察であれば、手帳を見せて、職務質問でもすればよい話だ。それに、もし倉庫に出入りするところを見ていたのならば、もたいぶている必要はないだろう。
 そうすると、何か別のところに属する人間、きと、私の同類の部類に属するものだろう。
 そう考えながら、歩いていると、さらに早足になた気がするが、それでも後ろの人間はまだついてくる。どうするか、思い切て私は後ろを振り返てみた。
 そこには人影はなかたが、何か黒い影が路地を曲がて行たように見えた。私は後を追て、路地の角へと行て見たが、人の姿はなかた。
 なんだか気味が悪かた。もう駅は近いので、早めにこの場を立ち去てしまおう。私はそう考え、急いで駅へと向かた。
 電車の中でも奇妙な視線を感じる。私は周囲を見回してみたが、誰も私の方を見ているものはいなかた。
 終電間際であるので、多少人は多かたような気もしたが、うつむいて寝ている人や、顔を赤くした、酔払いや、本を読んでいるようなありふれた人しか目につかなかた。
 私の思い込みかもしれないが、思い込みで済んでほしいと私は願た。
 sweetの隠れ家までは環状線の反対側まで行かなければならない。目的の駅に着くまで20分ほどかかた。その間ずと誰かに監視されているような気がしていて、私は気が滅入てしまた。それでも、一体だれが私ことを監視しているのか見当もつかなかた。
 人ごみに流されながら改札を抜ける。私は焦りで気が狂いそうになるのを抑えながら、件の雑居ビルへと向かた。
 ちうど駅を抜けたところで、再び、妙な気配を感じた。まずいと思い私は急いで、sweetの隠れ家へと向かおうとしたが、私の不注意だた。
 私が飛び込んだところは赤信号のスクランブル交差点だた。それほど大きくはないが、車の交通量が多いところで、一台目は何とかよけることができたが、二台目にやてきた別車線の車に私は撥ねられてしまた。
 大きなクラクシンの音と、女性の叫び声のようなものが聞こえた気がしたが、よく覚えていない。
 強い衝撃が私のふとももあたりを走り、私は車のボンネトの上に押し上げられ、また転げ落ちた。
 あたりが騒然として、私の意識も混乱していたが、猛スピードで黒いワンボクスカーが近づいてきて、私はまた轢かれそうになた。
 が、その車は、私の目の前で止まり、中から出てきた屈強な男が私の体をワンボクスカーの中へと引きこんだ。
 ワンボクスカーの中にはmy sweetが澄ました顔で鎮座していた。
「お、my sweet」
 私が声を発するなりsweetは私の頬を平手打ちした。
 私は驚いて声も出なかた。
「危ないじない、もと注意して行動しなさいよ」
 Sweetの口から出たのは労いの言葉ではなく、どちらかというと罵倒であた。
「それで、目的のものは手に入たの?」
「ここに」
 Sweetは何も言わずに私が倉庫からくすねてきた品を受け取た。しばらく件の物を目視で検分してから、助手席に座ている男にそれを投げ渡した。
「医者は後で呼ぶから、病院には行かないでね」
 そういてsweetはにこりと笑た。
「あなたにはまだまだやてもらわなきいけないことがあるから」
 その言葉を発した時には既にこちらの事は見てもいなかた。
  私は体の痛みがひどく、うまく言葉を発することができなかた。
 小悪魔のような女である。My sweet devil.
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