200文字小説コンテスト
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夢やぶれて
投稿時刻 : 2014.03.30 21:05
字数 : 200
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夢やぶれて
ra-san(ラーさん)


 歌手である妹が五年ぶりに戻てきた。俺は妹を墓参りへ誘た。
 夏の墓地は蝉時雨に包まれている。陽射しに焼けた両親の墓は、白く眩しかた。
 水を撒き、二人で墓を磨く。そして花を生けて線香を焚き、手を合わせる。

「夢やぶれて……か」

 目を開けた妹は、立ち昇る線香の煙を見ながら呟いた。

「そんなことを言いに帰てきたのか?」

 妹が俺を見る。

「親父もお袋も俺も、ずとお前のフンだぞ」

 泣く妹。俺はその肩を軽く叩いた。
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