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【BNSK】月末品評会 in てきすとぽい season 4
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ぱずる
 投稿時刻 : 2014.06.26 17:03
 字数 : 1405
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ぱずる
住谷 ねこ


 小学生の頃、自分はどうやら嫌われているらしいとはうすうす感じていて、理由もなんとなくわかていた。
いつも同じ服を着ているとか、歯も磨かない、顔も洗わない、ちびででぶで、頭も悪い女の子を好きになるやつがどこにいるのか。
 でもそれは男の子に限ての話で女の子たちには特別好かれないまでも嫌われているとは思ていなかた。
朝、いに学校へ行き、いに帰る。遠足の時のおやつも買いに行くし、放課後、家に遊びに行たり来たりすることもある。
 友達だと思ていた。
家が近所の子は休みの日にもいに遊ぶこともあり、親友とさえ思ていた。あの日までは。

あの日、あの日は3-4時間目が図工で木工パズルを制作中だた。
木の板に絵をかいて糸鋸でくり抜き、いろを塗り、パズルにするというもので、すでに図案もできて板に写し、いよいよ糸鋸を使
くり抜くという日だた。
糸鋸には台数に限りがあて5人で一台を使う。
糸鋸を使う順番はジンケンで私は二番になた。
私と同じ班になりたくなかた男の子たちは私のあとに糸鋸を使うことも嫌て聞えよがしに「板がくさる」とささやきあては笑た。
 くり抜くという作業は小学生にはなかなか難易度が高く、ただ切り離していくならともかく、くり抜くためには板に穴を開け、糸鋸を通して切り進めなければならないが板は思いのほか厚みがあり歯が途中で噛んで動かなくなたりする。
あんのじう、私の板は途中で前にも後ろにも進めなくなた。
 嫌いな人間の困た姿はさぞかし小気味よく、でも同時に醜悪で苛立たしく腹立たしい憎しみの対象だたと思う。
他の班は和気あいあいと助け合い、笑い合て進めているのに、こいつのおかげでちとも楽しくないしそれどころが愚鈍で不器用なこいつのおかげで機械は止まてしまうし、このままでは自分の番が来る前に図工の時間は終わてしまう。やすりだてかけなきならないし、色だて塗らなきならないし、できればニスも塗りたいのだ。次の図工のまで切り離しに時間がかかたらニスまで塗る時間はないかもしれない。
いらいらや、不安は怒りに変わる。
「お前、その板切えよ」
「そうだよ、切えよ。しうがねーだろ、自分で失敗したんだからさ。たいしたことないよ。切り抜けなくたて、とにかくどうやてもいいから板をはずしてどけよ」
「そうだ、そうだ」
「早く切れよ
「切れよ
切りたくはないけど、それしかないならしかたない、切てもいい、だけど切るにもどうにも動かない、動かせない、どうやていいかもわからない。
それを知ていてはやし立てる。
他の班の手のすいた子も騒ぎを聞きつけてやてくるが遠巻きに苦笑いするだけで助けてはくれない。
友達だと思ていた子も、親友だと思ていた子もこそこそとなにか言い合ては笑ていた。

そうなんだ。

ただ、ただ、早くどけ なんとかしろと罵られながら動かない電動のこぎりの前に立ちすくむしかなかた。

そのうち先生がやてきてめんどくさそうに糸鋸を抜いて新しい歯をとりつけ、食い込んだ歯を折て抜きながら「歯が動かなくなたら職員室にいるから呼びに来いて言ただろう」といい、穴と
よれた切れ目の入た板を投げてよこした。

そうなんだ。先生も。

みんながやすりをかけ、色をぬている頃、まだ一人、糸鋸と格闘していた。
提出日、パズルは完成はしたが、色を塗る時間はなかた。
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