てきすとぽい
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第20回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
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ゴルフクラブ(打撃武器)
(
三和すい
)
投稿時刻 : 2014.08.17 07:49
字数 : 1000
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ゴルフクラブ(打撃武器)
三和すい
酔いどれペンギンは松林の中を必死に走
っ
ていた。
いつものように狩りをしようと山に入
っ
た。ただ、何となくいつもと違うところに行
っ
てみようと思い山の奥にまで足を踏み入れた。
そこでまさかこんな魔物と遭遇するとは
……
。
短い足を必死に動かしながら、チラリと背後をふり返る。
追いかけてくるのは骸骨戦士だ。
アンデ
ッ
ドの一種で動きは緩慢だが、あいにくとこちらはペンギン。一生懸命走
っ
ても短い歩幅はどうにもならず、骸骨戦士に追いつかれつつある。氷の上なら腹で滑れば速いのだが、松林の中ではそうもいかない。
酔いどれペンギンは剣士だ。
逃げ切れないのなら戦えばいいようなものだが、今持
っ
ている剣は刺突系のレイピアのみである。相手を突き刺し深い致命傷を与えることができる細身の剣は、骨だけの骸骨戦士とは相性が悪い。
(何か他に武器はないものか
……
)
こんなことなら酒に金をつぎ込まず別の武器を買
っ
ておけばよか
っ
たと後悔しつつ、酔いどれペンギンは必死に走り続ける。
もうすぐ松林を抜ける、というところで何かにつまずき転ぶ。
(しま
っ
た!)
慌てて起き上がろうと地面に手をついた時、酔いどれペンギンの手が長細い物に触れた。
(これは
……
)
よく見ようとしたその時、ガシ
ャ
リという足音には
っ
と顔を上げる。
骸骨戦士がすぐそこにいた。
酔いどれペンギンは慌てて起き上がると、細長いそれを構えた。両手で柄をし
っ
かりと握りしめ、骸骨戦士に向か
っ
て思い
っ
きり振り回す。
パコー
ン!
気持ちのいい音とともに、骸骨戦士の頭が消えた。いや、飛ばされたのだ。髑髏は大きな弧を描いて飛んでいき、松林の向こうに広がる草原を越え、旗が立
っ
た小さな穴の上にスポリと落ちた。
頭を失
っ
たせいか、骸骨戦士の体はその場に崩れ落ちる。しかし、酔いどれペンギンはそれに気づいていなか
っ
た。
髑髏が飛んでい
っ
た先を見つめるペンギンは、助か
っ
たという安堵感ではなく、不思議な爽快感に包まれていた。
(何だろう、この気持ちは
……
)
酔いどれペンギンは自分が手にしている長細い棒を改めて見た。
棒の先端には拳ほどの大きさの丸みがあり、ここで髑髏を飛ばしたようだ。
これは、なかなか良い武器ではないか。
「よし。今日からお前は私の物だ」
さ
っ
そく町に戻
っ
てこれに合う鞘を買わなければ。いや、その前に狩りで鞘を買うための金を稼がなければ。
ゴルフクラブを手に入れた酔いどれペンギンは、鼻歌を歌いながら山の中を歩き始めた。
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