てきすとぽい
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第20回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
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乙女の口づけ(魔法カード)
(
三和すい
)
投稿時刻 : 2014.08.30 22:59
字数 : 1000
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乙女の口づけ(魔法カード)
三和すい
――
し
っ
かり!
し
っ
かりして、ペンギンさん!
遠くで誰かの声がした。
闇の中をさ迷
っ
ていた意識が、不意に戻る。
目を開けると、すぐ近くに美しい女の顔があ
っ
た。こちらを覗き込むその顔は、涙で濡れている。
「
…………
シアン」
どうにか動いたくちばしで名前を呼ぶ。彼女が必死に何か言
っ
ているが、酔いどれペンギン剣士の耳には何も聞こえない。
彼女の涙を拭こうと短い翼をあげようとするが、動かない。起き上がるどころか、身じろぎひとつできない。
それはそうだろう。魔王が放
っ
た闇の力をまともに受けたのだ。無傷で済むはずがない。 だが、踊り子のシアンにケガはないようだ。
(良か
っ
た
……
)
愛しい女の無事な姿に、酔いどれペンギン剣士は安堵した。
仲間たちとともに魔王の城に侵入した酔いどれペンギン剣士は、魔王の配下を倒しながら魔王がいる広間を目指していた。途中さらわれた人たちを見つけ助けたが、その中に踊り子のシアンの姿はなか
っ
た。聞くと彼女は少し前に魔王の間に連れていかれたらしい。
(無事でいてくれ)
祈りつつ魔王の間に飛び込むと、彼女は今まさに生け贄に捧げられようとしていた。
一瞬の隙をついて彼女の戒めを外したが、それを見逃してくれるほど魔王は甘くなか
っ
た。
魔王の手に黒い力が凝縮されていくのを見て、酔いどれペンギン剣士は懐から取り出したモンステラの葉を、迷わず踊り子に押し付けた。
ただの観葉植物の葉ではない。森の奥に住む闇鳥からもら
っ
たものだ。
闇の力を防いでくれるモンステラの葉は、シアンの身を守
っ
てくれた。だが、酔いどれペンギン剣士は瀕死の状態だ。体の感覚も、痛みも感じない。
(
……
我が輩は、死ぬのか
……
)
覚悟を決めて目を閉じた時、くちばしに何かやわらかいものを感じた。
春の光のようなあたたかい力が、くちばしから全身に広が
っ
ていく。
闇に沈みかけていた意識が、明るい光に包まれる。
そして、
「
……
◯◯◯様?」
耳元でかつての名前を呼ばれ、酔いどれペンギン剣士は飛び起きた。その体に、踊り子のシアンがすがりつく。
「シ、シアン?」
驚いてあげた声が、今までと違
っ
ていた。
いや。これは自分が人間だ
っ
た頃の声だ。
すがりつくシアンの体を抱き止めたのも、短い翼ではなく、人間の手だ。
信じられない気持ちで自分の体を見ると、彼は人間の頃の姿に戻
っ
ていた。
【効果】
古くから伝わる呪いの解除方法。
このカー
ドを使うと、呪術系のバ
ッ
ドステー
タスをすべて解除できる。
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