第1回てきすとぽぽい杯(15分拡張版)中止と見せかけ、ゲリラ開催
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どらえもん
投稿時刻 : 2014.09.21 00:00 最終更新 : 2014.09.21 14:44
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どらえもん
木下季花


 誰かのお腹が鳴った。腹の虫が泣いているのだろう。腹の虫とはなんだ。腹の中に虫など棲んでいるのか。いや、もし棲んでいるとしたら、それはかなり危ない虫だろう。サナダ虫的なやつだろう。だとしたら今この部屋にはサナダ虫を買っている奴がいると言う事だ。誰だ。また鳴っている。サナダ虫め。いつまでも泣き止まない。というか、何か食えばいいのに。何で腹なんか鳴っていやがるんだ糞野郎。腹が鳴るだなんてなんて見っともない奴なんだ。本当に、この世の中で最も最低で下品な行為だと思う。腹が鳴ると言うのは。サナダ虫め。というか、ここはどこだ。何で私はここにいるんだ。ん……?そもそも私は何と言う名前の人間だったっけ? ちきしょうめ。最悪だ。誰かが腹なんて鳴らすから私は記憶喪失になってしまったじゃないか。サナダ虫め。でもいい。どうせろくな記憶ではなかっただろう。そんなものサナダ虫に食わせてしまえばいいのさ。まったく。だが、まて、何か記憶の隅に引っかかっている気がするのだ。とあるキーワードが私の頭の片隅に引っかかり続けている。なんだろう。これを真剣に取り出してみようじゃないか。えーと……

ど


ら


え


も


ん

 ドラえもんとは誰だ。サナダ虫のことか。おーい、ドラえもん。このきーわどがさっきからずっと私の頭に響き続けているのだ。もしかしたら私がドラえもんなのかもしれない。よろしい。じゃあ私がドラえもんだと仮定することにしよう。先ほどからちらりと

の

び  た

という単語の組み合わせが頭の中で踊っているが、これは無視しよう。のびたなど放っておけばいい。とりあえずはドラえもんとサナダ虫だ。ちきしょう! サナダ虫! 一体サナダ虫とはなんだ。ドラえもんと何か関係があるのか。全く分からないことだらけだ。しかしわからないことだらけでありながらも、私は少しずつ前進している。思考に寄って確かに前進している。
 そこで、唐突に近くに女性がやってきた。そいつは私のこう問うのだ。
「すみません。お名前を記入ください」
 私はそこでドラえもんと書いた。しかし女性は私のことを猜疑心に溢れた目で見やがる。一体何だっていうんだ。きっとこの女はサナダ虫の手先か何かだろう。
 私がドラえもん以外であるはずがない。自信を持って私はドラえもんだと言える。私はそうして、当然名前を呼ばれて案内された扉の奥に入っていく。
 どうやら私はひどい事故で記憶を失っている男の子で、ドラえもんではないらしいね。
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