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「なるほど。監視カメラはその男が細工した、同僚をあらかじめ殺すために、自分はそこへ鉢合わせただけ、という筋書きですか……」
「それにしても、日本の教会でも、こうやって懺悔って聞いてくれるんだな。神父さんって、警察には言わないでいてくれるんだっけか。自首するかどうかは、ま、これから決めるよ」
私は懺悔室で、その男の告白の内容を理解した。
彼がその気にならなければ、真相は永遠に藪の中になってしまうのだろう。しかし、告解は警察にも他言しないように誓約している。これは秘蹟なのだから、警察にも言えないことだ。
「それにしても……本当に、人格が切り替わるみたいに、話し方が変わりますね」
「なんつーか、俺その時の自分のモードになった方が、その時のこと思い出して喋りやすいんだよ」
「それにしたって、声のトーンまで、あなた完全に別人でしたし」
「なんなら、もういっぺんお披露目してやろうか?」
濁声がやみ、少し間を空けると、溌剌としたまるで別人のような澄んだ声で、男は再びしゃべりだした。
懺悔質の構造上、顔まではっきりとは見えないが、セブンイレブンのエプロンをしたその男は、きっとそれはそれはにっこりと営業用の笑顔でいるのだろう。
「えぇ、えぇ、焦りましたよ。あの時は。暇つぶしに殺した同僚を、運搬車に詰めて冷凍室へ運ぼうとした、その矢先に入ってきたお客さんに目撃されてしまった、その時は……」
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