てきすとぽい
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第28回 てきすとぽい杯〈夏の24時間耐久〉
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力を受け継ぎし者の末路
(
三和すい
)
投稿時刻 : 2015.08.16 07:11
字数 : 1000
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力を受け継ぎし者の末路
三和すい
部活からの帰り、暗い夜道を自転車で走
っ
ていると道の真ん中に何やら丸太のような物が横たわ
っ
ていた。
「何だ?」
無視したいところだが、狭い道をふさぐように置いてある。仕方なく俺は自転車から降りて近づいた。誰だか知らないが、こんなところに粗大ゴミを不法投棄なんかして
……
と思いながら動かそうとすると、それがうめき声を上げた。
「ひ、人!?」
ひき逃げでもされたのか、よく見れば体のあちこちに傷を負
っ
ている。
「大丈夫ですか? すぐに救急車を呼びますから!」
携帯電話を取り出そうとポケ
ッ
トに手を突
っ
込む。が、
「
……
いらぬ。儂の命はここで尽きる」
倒れていた男が俺の腕をつかんだ。
苦しげに顔をしかめているが、何故か口元には笑みが浮かんでいる。
「だが、命運までは尽きていなか
っ
た。最後に儂の力を託せる者に巡り会えるとは」
「は?」
「お主に、儂の力を与えよう」
その途端、周囲の空気が動いた。
何かがい
っ
せいに集ま
っ
てきて、俺の中に吸い込まれていく。
目には見えなか
っ
たが、俺は確かにそう感じた。
「い
っ
たい何が
……
」
不思議に思いながら男を見ると
……
あれ? 目を閉じている? しかも、さ
っ
きまで苦しんでいたはずの顔が何だか安らかですよ?
「おい! し
っ
かりしろよ!」
俺は慌てて男を揺さぶ
っ
た。
い
っ
たい俺に何をしたのか伝えないまま死ぬなんて、そんなのありか?
ありかもしれないが、俺はめち
ゃ
くち
ゃ
困る!
「起きろよ!」
俺の必死の呼びかけに、男はう
っ
すらと目を開け、
「
……
気をつけろ
……
ヤツらは、力を、狙
っ
て、かな、らず
……
」
そこまで言うと、男の頭はガクリと力を失
っ
た。
「え
っ
、ち
ょ
っ
と!」
俺はそんな言葉が聞きたか
っ
たわけじ
ゃ
ないよ? と言うか、聞きたくなか
っ
たんですけど、そんな情報。
いくら呼んでも男は目を開けない。
それどころか男の体は崩れ、細かい塵とな
っ
て風に吹き飛ばされていく。
後に残
っ
たのは茫然とする俺だけだ
っ
た。
次の日から、俺は視線を感じるようにな
っ
た。
ふり返ると誰もいない。けど、あちこちから見られているような気配がする。
不安にな
っ
た俺は学校に行けなくな
っ
た。
「い
っ
たいどうしたんだ?」
心配する両親に俺はすべてを打ち明けた。
「そうだ
っ
たのか」
と両親は言
っ
てくれたが、翌日病院の精神科に連れて行かれた。
医者にも同じく訴えると、
「それは大変ですね」
薬をいくつも処方された。
俺はあきらめず訴え続けた。
周りからの視線が冷たく突き刺さるようにな
っ
ても。
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