てきすとぽい
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第29回 てきすとぽい杯
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故郷の友人
(
゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.
)
投稿時刻 : 2015.10.17 23:36
最終更新 : 2015.10.17 23:44
字数 : 1995
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2015/10/17 23:44:16
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2015/10/17 23:43:10
-
2015/10/17 23:36:57
故郷の友人
゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.
Subject:
明日の話
To:
Sachiko
From:
namaashi
Date:
Sat,
17
Oct
2015
23:35:10
こんな時間にごめんね、もう寝ち
ゃ
っ
てるかな? 明日君に会
っ
てもらう僕の大事な友人について、少し説明させてほしいんだ。最初は何も言わないで、先入観なしに会
っ
てもらいたいと思
っ
ていたけど、や
っ
ぱり、び
っ
くりさせち
ゃ
うかなと思
っ
て。
彼の名前は、タマゴ。出会
っ
たのは、僕が中学一年生の頃。
あれは、まだ残暑のきつい二学期の初めの昼下がり。英語の死に水先生の授業中だ
っ
た。
――
シニミズ先生
っ
ていうのはもちろん、あだ名さ。今思うとひどく残酷なあだ名だと本当に反省しているんだけど、中学の間ず
っ
とそのあだ名で呼んでいたせいで、本名が思い出せないんだ。
彼女は当時まだ大学を出たばかりの若い先生で、いつもきれいなスカー
トを履いていた。6月の宿泊学習のとき、のちに覗きで逮捕されることとなる学年主任のお
っ
さんが、夜、僕らの寝室にや
っ
てきて僕らの思春期らしい拙い猥談に勝手に加わり、「○○先生のスカー
トのすそから、たまにシ・ミー
ズが見えてるねえ、へ
っ
へ
っ
へ」なんて言
っ
たんだ。今思うと多分、シ
ュ
ミー
ズ?
っ
てやつのことを言いたか
っ
たんだと思うけど、僕らはそんな、もはや死語ではないかという言い方を聞きなれていなくて、「シニミズ?」と誰かが聞き間違えたせいで、それ以降、僕らは彼女のことを陰で「シニミズ先生」と呼ぶようにな
っ
た。
シニミズ先生は若くて、若者らしく熱心な先生だ
っ
た。英語の授業ではいつもビー
トルズやカー
ペンター
ズやマザー
グー
スの歌詞カー
ドを配り、僕らに歌うよう呼びかけた。でも中学一年生の僕らは教室で歌を歌うなんてか
っ
こ悪くてできやしなくて、いつもふてぶてしい反抗的な態度を取
っ
ていた。シニミズ先生は、今思うと、そんな生徒たちの前で、けなげに頑張
っ
ていたなあと思うよ。
彼女に教わ
っ
た歌なんてほとんど覚えち
ゃ
いないけど、その日の歌だけは、クラス中の皆が覚えていると思う。
ハンプテ
ィ
ダンプテ
ィ
の気だるげなメロデ
ィ
がスピー
カー
から延々と流れていた。すると突然、窓の外から一瞬、あまりにまぶしい光が飛び込んできた。突然のことに驚いて、僕らは皆窓辺に駆け寄
っ
た。すると、グラウンドに、巨大な空飛ぶ円盤が降り立
っ
てきたんだ。
「UFOだ!」
と誰かが指さして叫んだ。
はたしてそれは、UFOだ
っ
た。円盤から突然一筋の光が、何故かいきなり僕の方へ向いてきた。それはレー
ザー
光線で、僕の制服のスラ
ッ
クスが切り取られてシ
ョ
ー
トパンツ状にされ、最近生えてて来たスネ毛まみれの生足がクラスメイトの前に晒された。
だが誰もそれを笑
っ
たりしなか
っ
た。それどころじ
ゃ
なか
っ
た。突然巨大なUFOがや
っ
てきて、超高性能なレー
ザー
光線で僕らを攻撃してきたんだ。恐怖でみんな、固ま
っ
て動けなくな
っ
た。静まり返
っ
た教室の中で、ハンプテ
ィ
ダンプテ
ィ
だけが無機質に流れている。
その時、あれは、誰だ
っ
たかな
……
いつも冷静なクラス委員の山田くんだ
っ
たかもしれない。突然、そのテー
プに乗
っ
て、歌い出したんだ。
「は、は
ぁ
ー
んぷて
ぃ
、だー
んぷて
ぃ
、さ
っ
と、おんな、う
ぉ
ー
」
恐怖で頭がおかしくな
っ
てしま
っ
たんだ。それからそれにつられて、ぽつりぽつりとみんながハンプテ
ィ
ダンプテ
ィ
を歌い始めた。それは、これまでの授業でず
っ
とシニミズ先生が夢見続けてきた、生徒たちの心が一つにな
っ
た元気な英語の歌の大合唱だ
っ
たろう。頭のおかしくな
っ
てしま
っ
た僕らは教室の中で輪にな
っ
て手を繋ぎ、大声でハンプテ
ィ
ダンプテ
ィ
を歌い続けた。
何回も、何回も
……
すると、最初のレー
ザー
光線以降沈黙を続けてきたUFOから、ついに異星人が降り立
っ
てきた。
それは、よくSF映画に出て来る、ひ
ょ
ろ
っ
とした銀色の体とでかい目をしたやつだ
っ
た。
彼は僕らの前に現れ、こう言
っ
た。
「ワタシハ、ウチ
ュ
ウジンダ。チキ
ュ
ウジント、トモダチニ、ナリニ、キタ」
そうか、そうだ
っ
たのか! と僕らは安心し、ハンプテ
ィ
ダンプテ
ィ
にちなんで「タマゴ」という地球名を与えたそれと、友達にな
っ
た。
そう、明日君に会わせたい友だちは、宇宙人なんだ。でも大丈夫、今はだいぶ日本語も話せるし、とてもいいやつだから。見た目はち
ょ
っ
とび
っ
くりするかもしれないけど、き
っ
とすぐに仲良くなれるよ。
それじ
ゃ
あ、明日ね。
Subject:
どうしたの?
To:
Sachiko
From:
namaashi
Date:
Sun,
18
Oct
2015
12:23:47
サチコ、連絡くれ
Subject:
To:
Sachiko
From:
namaashi
Date:
Sun,
18
Oct
2015
19:58:07
僕たち、これでおしまいなの?
All
the
king's
horses
and
all
the
king's
men
Couldn't
put
Humpty
together
again?
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