てきすとぽい
X
(Twitter)
で
ログイン
X
で
シェア
第29回 てきすとぽい杯
〔
1
〕
…
〔
3
〕
〔
4
〕
«
〔 作品5 〕
»
〔
6
〕
〔
7
〕
…
〔
15
〕
私も死んだらこうなるの?
(
ra-san(ラーさん)
)
投稿時刻 : 2015.10.17 23:32
字数 : 747
1
2
3
4
5
投票しない
感 想
ログインして投票
私も死んだらこうなるの?
ra-san(ラーさん)
床の死体
鼻から顎に蛆虫が這
っ
ている
女は聞いた
私も死んだらこうなるの?
ああ! 牧師は言
っ
た
お前も死ねば腐るのさ
部屋の扉を開けた少年は、マザー
グー
スのそんな歌を歌いながら踊るようなステ
ッ
プで部屋隅のベ
ッ
ドへと近づく。ベ
ッ
ドのシー
ツからのぞくのは若い女性の生足。その枕元からは絶え絶えとした弱い息が聞こえてくる。
女は聞いた
私も死んだらこうなるの?
少年が枕元に顔を近づけて、さえずるようにそう歌う。そこにあるのは土のような色をした少女の顔。少女の目が薄く開かれ、少年の顔を見る。
「あなたはだあれ?」
暗い部屋にもぼんやり光るような白い肌をした少年が、夜の湖のように深い青色の瞳で少女をじ
っ
と見つめている。
女は聞いた
私も死んだらこうなるの?
湖に引き込まれるようにその瞳を見た少女は、少年の歌に誘われるように口を開いた。
「私も死んだらこうなるの?」
少年はニコリと笑う。
ああ! 牧師は言
っ
た
お前も死ねば腐るのさ
そして少女に死に水をつけるように口づけをする。少女の目が閉じ、その弱々しい息が聞こえなくなる頃、少年は少女から顔を離した。
少女の体からじわじわと白い虫が湧いてくる。目から口から鼻から顎に、蛆虫がざわざわと湧き上がり、少女の体はすぐさまに骨となる。
床の死体
鼻から顎に蛆虫が這
っ
ている
やがて蛆虫たちは黒い蠅となると、一斉に舞い上がり人の姿を形作る。
「さあ、いきまし
ょ
うか」
蠅は自分が食べ尽くした少女の形となり、少年に微笑みかけた。
それに応えるように少年も微笑むと、部屋に入
っ
た時と同じように歌を歌いながら踊るようなステ
ッ
プを踏んで歩きだした。
床の死体
鼻から顎に蛆虫が這
っ
ている
女は聞いた
私も死んだらこうなるの?
ああ! 牧師は言
っ
た
お前も死ねば腐るのさ
そして少年は蠅とな
っ
た少女を連れて、この部屋から立ち去
っ
た。
←
前の作品へ
次の作品へ
→
1
2
3
4
5
投票しない
感 想
ログインして投票