時事ネタなようで時事ネタじゃない小説賞
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アイズ' ルーム
投稿時刻 : 2015.11.27 03:04 最終更新 : 2015.11.27 03:07
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- 2015/11/27 03:07:33
- 2015/11/27 03:06:55
- 2015/11/27 03:06:20
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- 2015/11/27 03:04:21
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     デド・ライン

 『アイズ‘ ルーム』に映し出されている男の人は、しきりに体をねじらせて、画面の向こうから何かを訴えかけています。
 ところが、画面の向こうの音は、わたしたちには聞こえないのです。
 無音放送なのです。
 男の人はやせ細て、弱々しい目つきでわたしたちを見ています。
 その目には、わたしたちへの恨めしい気持ちがあるようにも見えます。
 しかし、わたしたちもまた、一体どうしたらいいのか分からないのです。
 そのうち、画面の右隅の数字――タイムリミトを示した――は、刻々とゼロに近付いていきます。
 逆に、大きな数字――視聴者数でしうか――は、先ほどよりも大きくなりました。
 みんな、期待しているのです。
 このタイムリミトが何を指すものなのか。
 ゼロになたらどうなてしまうのか。
 インタート上の書き込みも、その話題で持ちきりです。
 真ん中の数字は相変わらずゼロのままです。
 男の人にも、このタイムリミトが見えているのでしうか。
 画面いぱいには、必死で何かを叫ぶ顔が映し出されています。
 まるで、この世の終わりかのような表情で。
 わたしたちは、その表情を、息をのんで見つめますが、ついにタイムリミトを迎えます。
 ゼロ。
 ゼロゼロ:ゼロゼロ:ゼロゼロ
 画面は真暗になり、わたしたちの顔が画面に映し出されます。
 放送は終わてしまたのでしうか。
 固唾をのんで見守る中、画面は沈黙を守ります。
 しかし、いつまで経ても画面は真暗なままです。
 やがてこの番組を見ていた人は飽きてきます。
 そうして、リモコンでチンネルを変えようとしたとき。
 画面が煌々と灯り、わたしたちの手は止まります。
 画面には、まだ幼い女の子が映し出されていました。
 放送は終わてはいませんでした。
 画面の右上には、ひときわ目立つフントで書かれた文字――

 『アイズ‘ ルーム』
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